ピラティスのメンタル効果は?心も身体もスッキリする頻度を臨床心理士が解説!

体幹・インナーマッスルを鍛えるエクササイズとして大注目されているピラティス。芸能人やアスリートからも「ピラティスに通っている」という声をよく聞くようになりましたよね。身体面の効果が注目されいるピラティスですが、メンタル効果もあることはご存じでしょうか。今回は、心の専門家である臨床心理士がピラティスのメンタル面の効果、マットとマシンの違い、メンタル面におすすめの頻度について説明します。

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

ピラティスはリハビリからはじまった

ピラティスはもともと、リハビリを目的に誕生したエクササイズでした。心身をコントロールし、身体の柔軟性や強さ、しなやかさを作っていくメニューがメインのため、終わった後の身体がスッキリするといわれています。

リハビリ目的のため、どちらかといえばアスリートやバレエダンサー、女優、モデルなどの身体が資本の職種の方が取り入れているエクササイズです。しかし、近年ではダイエットやメンタルのバランスを保つために活用している方も増え、人気の運動方法となりました。

精神(メンタル)との結びつきが深いヨガと異なり、健康的な身体のためのコアマッスル・インナーマッスルを鍛えるピラティス。しかし、ピラティスのエクササイズのなかにも最近の調査では瞑想効果やメンタル安定の効果が期待されることがわかってきました。

今回は大注目のピラティスのメンタル効果について、心の専門家である臨床心理士が解説します。

ピラティスのメンタル効果5選

リハビリからはじまったピラティスのメンタル効果とは?具体的にどのような効果があるかご紹介します。

1.自律神経が整う

自律神経には交感神経と副交感神経があり、ピラティスでは交感神経を活性化させる効果が期待されています。交感神経とは、私たちの身体のエンジンのようなもの。元気で活発なモードを作ってくれる存在です。

ピラティスで身体を鍛えたり、身体の使い方を学ぶことで、交感神経が活発になり前向きな気持ちになりやすいといわれています。「鍛える」といっても厳しいメニューではなく、身体に大きな負荷をかけずに鍛える内容となっていることもピラティスが人気の秘密。

過度な負荷をかけずに適度な強度でトレーニングできるので、ピラティスにはストレス解消効果があるといわれています。また、胸式呼吸を取り入れていることから、そのほかのスポーツよりも心拍数や血圧の上昇を抑えられるため、近い強度の運動よりもリラックス効果が期待できるようです。

2.冷え性や肌トラブルに効く

ピラティスは内臓機能を活発化させてくれるエクササイズともいわれています。私たちの身体は内臓機能が活発になって、身体が温まることで、冷え性や肌トラブル改善につながるのはご存知の方もいるかもしれません。

内臓は肌の鏡。ピラティスで基礎代謝をあげ、しっかり内側から体内を温めることで美肌を手に入れる可能性が広がるでしょう。そのほかにも内臓を温めると便秘改善も期待できます。

メンタルとは関係ないように思われるかもしれませんが、肌トラブルや冷え、便秘はストレスとの関連性が深いです。ストレスが原因でもなりやすい症状ですが、肌トラブルや冷え性で自身の身体に不満を抱えることもストレスにつながります。ピラティスは女性のストレスの原因となるトラブル改善効果も期待されているのです。

3.痩せやすい体質になる

痩せやすい体質とは、基礎代謝が高く、カロリー消費が多い身体のこと。食べ物を消化して、栄養素を吸収し、余分なものを排出するスピードがスムーズな状態です。

ピラティスは基礎代謝を高める効果が期待できるエクササイズ。基礎代謝を高めると、脂肪燃焼効果や血行促進が期待され、太りにくい身体やきれいな肌を手に入れられるでしょう。女性はダイエットを我慢だと思いがちですが、それは違います。ピラティスで健康意識を高めることで、ストレスをためずに痩せ体質を目指せて、メンタルも安定的な状態を目指せますよ。

4.ストレス耐性が高まる

株式会社zen placeの調査によると、1日1回以上ピラティスを実践した人の「身体耐性」と「精神耐性」が改善したことがわかりました。ストレス耐性とは、ストレスを全く感じないことではなく、ストレスに対する抵抗力や適応力のこと。ストレスとうまく付き合い、解消したり対処したりする力を指します。

株式会社zen placeの調査以外にも、もともと有酸素運動に関するストレス耐性やメンタルヘルスに有効という研究は多く見られます。ピラティスは有酸素運動の一種。ウォーキングやサイクリング、水泳などと同じ効果が期待できるエクササイズであり、ストレス耐性が高まる運動法なのです。

5.インナーマッスルが鍛えられる

インナーマッスルとは、身体の深部にある筋肉のことで、私たちの身体を安定にし正しい姿勢にする役割があります。ピラティスは、身体に大きな負荷をかけない程度にインナーマッスルを強化し、姿勢や内臓の働きの改善が期待できる運動方法です。

インナーマッスルと聞くと、メンタルと関係がないように感じるかもしれません。しかし、姿勢が悪いと身体が下向きになりやすく、鬱々とした気分になりやすくなるでしょう。不安感を増幅させ、ストレスがたまりやすくなります。

またインナーマッスルが鍛えられていないと、内臓の働きが悪くなり内臓疲労になる可能性が高くなります。内臓疲労になることで仕事や家庭、プライベートでパフォーマンスが発揮できなくなるかもしれません。それは困りますよね。

ピラティスは身体を鍛えるエクササイズですが、同時に心・メンタル強化の役割も担っているのです。

参考
インナーマッスルとは | 健康長寿ネット
胃腸の疲れはストレスのサイン!消化不良を起こす理由と改善方法 | セラピストプラス | 医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報

効果が感じられるおすすめの頻度は?

株式会社zen placeの調査では「1日1回以上」でしたが、いきなり毎日はじめるのは大変ですよね。
はじめは週1からやってみましょう。オンラインやYouTube動画を見ながらでもいいですが、月4回プランのあるスタジオが近くにあれば、通ってみてもいいですね。体験レッスンを受けるなど、いくつか試してみて自分に合う方法で続けてみましょう。

頻度としては週1でも十分メンタル効果はありますが、さらに身体を鍛えていきたい女性やダイエット目的も兼ねている人は徐々に週2~3日にできるとより効果的です。

ピラティス考案者であるジョセフ・ピラティス氏は「10回で違いを感じ、20回で見た目が変わる。 30回で身体のすべてが変わる」という名言を残しています。つまり1回で劇的に変わるのではなく、徐々に実感できていくので焦りは禁物です。

これから始める人も、身体やメンタルの違いを感じることで「もっと続けたい!」という気持ちやピラティスに対する前向きな思いが出てくるかもしれませんね。心理士としては、毎日気分や気持ちの記録をつけ、自分の小さな変化に気づきやすい状態をつくっておくと、さらに効果を実感しやすいかなと感じます。

マットとマシンに効果の違いはある?

ピラティスには主に「マット」と「マシン」がありますが、メンタル効果に違いはあるのでしょうか?マットとマシンの違い、メンタル効果についてさらに深くみていきましょう

マットは気軽にはじめられる

タオルやヨガマットがあれば自宅で気軽にはじめるのが、マットピラティスの魅力。インストラクター資格もマットピラティスを取得した人がマシンピラティスを取得できるパターンが多く、インストラクターやスタジオもマシンより多くあるといわれています。

マットピラティスは主にボディラインを全体的に引き締めたり、体幹トレーニング効果が期待できるエクササイズ。自宅でも簡単にでき、料金もマシンピラティスよりリーズナブルです。マシンピラティスよりもすぐに始められる点でハードルが低いといわれています。

メンタルが落ちているときや悩んでいるとき、休日にほかのこともしなければならないときなど外出せずに運動できるのは嬉しいですよね。

使う筋肉や呼吸を意識しながら身体を動かすので、セロトニンを分泌し、自律神経も整って、メンタル安定につながっていくでしょう。

ただし、筋力が少ない人や身体の使い方に慣れていない人はマットピラティスを難しく感じるときがあります。本来とは違う筋肉を使ってしまうこともあり、効果が半減するそうです。その点は注意して取り組んでみてくださいね。

マシンは初心者向きでもある

マシンには種類や使い方がいくつもあり、初心者にとっては身体の使い方になれるためのサポートとしての役割を担っています。また、上級者やプロアスリート、モデルなどは身体に負荷をかけたトレーニングが行えるので、幅広い人に対応できるメニューが豊富です。

マシンピラティスのマシンは1つではなく、目的に応じてマシンを選ぶことが主流。最も有名なマシンはリフォーマーですが、それ以外に「チェア」「バレル」「キャデラック 」などが代表的なマシンといわれています。マシンピラティスは、メンタル効果以外に身体の使い方や特定の部位中心に鍛えたい人向きです。

マシンピラティスのメンタル効果は、マットの特徴に加えてコントロールや集中力を養うところ。マットよりもバリエーションが豊富で、身体の特定の部位をしっかり鍛えていくため、正しいフォームと姿勢が重要となります。

人はずっとリラックス状態だと、自律神経が副交感神経のみ優位となるため「気力減退」「抑うつ傾向」「食欲亢進」などの状態に陥り、以前は元気だった人も免疫力が低下してしまうのをご存知でしょうか。そこで重要なのが適度な運動や、集中している状態のような交感神経優位な状態の時間もつくること。

マシンピラティスはちょうどいい負荷を与え、身体のお悩み(肩こりやむくみなど)を解決してくれるストレス解消法なのです。

参考
副交感神経が過度に優位になってしまうとどうなるの? | けんこうカイロプラクティックセンター

ピラティスはメンタル安定と女性らしい身体づくりに最適

ピラティスの「鍛える」とは、筋肉ムキムキのボディビルダーのような身体を目指すのではなく、インナーマッスルを鍛え、女性らしいしなやかな身体のためのトレーニングを指します。美しい体型を作り、それを維持したまま、生活に必要だけど意識しにくい身体の軸を安定させられるのです。

メンタル面よりも身体面の効果の方が注目されがちですが、身体と心はつながっています。特に女性は自分の見た目を意識しすぎる結果、自信喪失やメンタル不調になる人も少なくありません。ほかにも肩こりや頭痛、生理痛など、女性は生活の中で痛みを伴う機会が多いですよね。これらがスッキリするだけでも心が晴れて、モヤモヤした気分になりにくくなります。

ただし、メンタル不調がつらく、すでに鬱々とした気分が続いている人は、ピラティスの前に病院を受診して早期治療を試みてからピラティスで回復後の状態を維持する方がいいでしょう。ピラティスに限らず、どのスポーツもメンタルに効果があっても万能ではないからこそ、自分の状態を知り、適切なタイミングで取り組むことが重要なのです。

YOGAHACKでは、ピラティスのさまざまな魅力や各地域のスタジオを紹介しています。そちらもあわせてご覧ください。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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