【臨床心理士解説】冬季うつチェックリストで早めに対策しよう!

寒くなると、「やる気が出ない」「寝ても寝たりない」「甘いものが食べたくなる」という人はいませんか?この症状は、もしかすると冬季うつの可能性があります。春になれば症状は緩和しますが、また次の冬には悩まされるかもしれません。この記事では、心の専門家である臨床心理士が冬季うつと一般的なうつの違い、冬季うつチェックリストと対策方法を解説します。「自分は大丈夫」と思わず、記事を参考にしながら冬を楽しく乗り越えましょう!

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

監修者

寒くなると、気分が落ち込むのって病気ですか?

秋から冬にかけて、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなるという人はいませんか?
「やる気が出ない=病気」ではないですが、いくつかの症状に当てはまっていれば冬季うつ(季節性情動障害/季節性感情障害)かもしれません。

この記事では心の専門家である臨床心理士が、うつと冬季うつの違いや、チェックリスト、冬季うつ対策を紹介します。

※冬季うつは正式な病名ではありません。精神科領域で診断基準として使用されているDSM-5では、うつ病と同じ抑うつ障害群のなかの「特定不能の抑うつ障害、季節型」に分類され、季節性情動障害/季節性感情障害とも呼ばれています。

うつと「冬季うつ」って違うの?

「寝ても疲れがとれない、眠い…」
「朝起きるのがつらすぎる」
「無性に甘いものが食べたい…」

冬季うつの特徴は、過食と過眠が特に強く症状として現れることです。特に過食は、甘いものが食べたくなったり、炭水化物への欲求がほかの季節よりも出やすいといわれています。

冬季うつの原因の1つは、 日照時間が短くなることによる神経伝達物質「セロトニン」の不足です。セロトニンと甘いものには実は関係性があります。甘いものを食べると一時的にセロトニンが増えるため、甘いものを食べて元気になり、またしばらくすると甘いものが欲しくなる…というサイクルが出来上がって、過食傾向となりやすいのです

一方で、うつ病は過食傾向の方もいますが、どちらかと言えば食欲が低下する人の方が多いとされています。以下に、うつと冬季うつには共通点と異なる点をまとめてみました。

<うつ・冬季うつの共通点>
・気分の落ち込み
・無気力、やる気がなくなる
・イライラする
・疲れやすい
・好きだったことが楽しめなくなる など
<うつ・冬季うつの異なる点>
・うつ病
 不眠や寝つけなくなる
 食欲低下

・冬季うつ
 食欲増進(特に甘いものや炭水化物)
 過眠傾向、起きられない

個人差もありますが、冬季うつの場合は通常のうつ症状に加えて、過食と過眠がみられることが多いです。また、男性よりも女性の方が冬季うつになりやすい人は多いといわれています。

あなたはどう?冬季うつチェックリスト

以下のチェックリスト10項目について、ここ2年ほどの間に、冬の時期だけに当てはまるものを数えてみてください。もし、冬以外も当てはまるものがあれば、別で数えてみてくださいね。

  1. 朝起きることがつらい日が多い
  2. 気分が落ち込みやすい
  3. やる気が低下している
  4. 体のだるさが1日中続く日がある
  5. 集中力や思考力が低下している
  6. 甘いものが食べたくなる日が多い
  7. 炭水化物を欲することが増えた
  8. 人と関わることが面倒に感じるときが多い
  9. 楽しいことがないと感じる
  10. 以前はできていたことができないor時間がかかる
・5個以上当てはまった人
 冬季うつの可能性が高いです。
・2~5個程度当てはまった人
 冬季うつ予備軍です。十分気をつけましょう。
・0~1個の人
 冬季うつの可能性は低いですが、気をつけましょう。

チェックリストのような状態が、「この時期(秋から冬にかけて)のみ当てはまる」「春になると元気になる」に当てはまれば冬季うつの可能性があります。一方で、季節関係なく5個以上当てはまっている人は、一般的なうつ病やうつ状態の傾向が考えられます。このあと紹介する対策や予防法を実践していきましょう。

そして、冬季うつでも一般的なうつ病の方でも、早めに医療機関へ受診されることをおすすめします。

チェックリストの結果関係なく対策・予防は必須

チェックリストの該当個数に限らず、冬季うつ対策は通常のうつ病対策や、メンタル不調予防にいもつながります。6つ紹介するので、さっそく取り入れてみてくださいね。

1.朝起きて太陽光を浴びる

太陽光を浴びることで、うつ病対策とも共通する「セロトニン不足」を補います。
特に冬は日照時間が短いため、太陽の光を浴びられる時間も少ないです。朝起きたらまず、カーテンと窓を開けて日光を感じながら空気の入れ替えをしましょう。シャキッと覚めやすくなりますよ。

曇りや雨の日でも、セロトニン分泌するには十分な光です。もちろん、晴れの日の方がより多く浴びられますが、曇りや雨の日でも日光はでているので、たっぷり日光を浴びてみてくださいね。

もし寒いのがどうしても苦手…夜勤だからに日光を浴びられない…など、状況的に難しい人は自室で過ごす時間に部屋を明るくしているだけでも近しい効果は得られます。

2.身体を適度に動かす

ウォーキングなどは、ドーパミンが分泌される運動の1つです。運動が苦手な人はまず、軽いウォーキングからはじめてみましょう。特に冬の激しい運動は、身体への負担が大きくなるため、軽いウォーキングやストレッチ程度で十分です。その理由は、冬は激しい運動をすることで寒冷の影響により、身体の血管が収縮して血圧が上がり、心臓への負担が増えるリスクがあるから。

なかでも運動慣れしていない人は、屋内でできるストレッチやヨガがおすすめです。外で運動される場合は早朝や夜などの寒い時間は避け、服装にも注意しましょう。

参考:冬の寒い時の運動の注意点│健康長寿ネット

3.食事に気をつける

食事からもセロトニン不足を補っていきましょう。セロトニンの分泌には、トリプトファンを含むアミノ酸が必要です。それらを多く含む食品の摂取を意識することで身体は元気を取り戻していきます。また、トリプトファンは体内でしか作れないため、食事からとる必要があるのです。

乳製品 チーズ、ヨーグルト、牛乳など
大豆製品 納豆、味噌、豆腐、しょうゆなど
ナッツ類 カシューナッツ、クルミ、アーモンド、ピーナッツなど
その他 レバー、卵、かつお節、アボカド、ごま、マグロ、赤身肉など

上記の食材を積極的に食べましょう。また、トリプトファンばかり摂取していても栄養は偏ってしまいます。アミノ酸の吸収を促すフルーツや緑黄色野菜も食べて、バランスのよい食事を心がけてくださいね。

忙しくて気をつけられない人は、朝食に「納豆」「鮭フレークやツナ缶」と白米という組み合わせがおすすすめです。ほかにも、パン派の人は目玉焼きを載せたトーストやバナナなどもいいかもしれません。無理のない範囲で、特に朝食はしっかり摂ってみてくださいね。
参考:食品成分データベース│文部科学省

4.身体を温める

冬に限らず、冷えはメンタルヘルスと密接な関係があります。
ストレスを感じると交感神経が優位になりますが、その結果、血行が悪くなり冷え性になることは多いです。冬場はストレスが通常より少ないとしても、寒さを感じて手足や身体全体が冷えてしまいます。

身体を意識的に温めることは、リラックス効果や身体の緊張(固まっている感覚)をほぐす効果も期待できるので、ぜひ取り組んでみてくださいね。特に女性は、男性よりも筋肉量が少なく、ホルモンバランスの影響も受けやすいため冷えを感じやすくなります。身体を温めて免疫力をアップしましょう!

また、身体を温めることは質のいい睡眠にも良き効果を与えます。日中は防寒対策やお腹、脚先、腰回りなどの専用カイロを使って温めましょう。夜は湯船に浸かり、軽いストレッチをしてから眠るとよく眠れます。ハーブティーやアロマで香りからも身体を温める女性は多いので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

5.深呼吸・瞑想をする

瞑想や深呼吸は「今、ここ」に集中し、考え事や不安なことなどから離れるための手段の1つです。ストレスを和らげ、気持ちを落ち着かせてくれる効果も期待できます。

特に「1.朝起きて太陽光を浴びる」とセットで行なうと、より効果的です。冬は日照時間が短いからこそ、日光が出ているうちにエネルギーをたっぷりもらいましょうね。

私たちは日々、スマホやパソコンなどからあらゆる情報を得ています。仕事や家事などでも考えることだらけですよね。深呼吸や瞑想を通して、呼吸に集中して気持ちを落ち着かせ、自分のストレスを少しでも軽くしてあげましょう。運動を兼ねてヨガを行うのもおすすめです。

6.冬を楽しむ

みなさん冬は好きですか?冬季うつになりやすい人は、目の前の仕事や家事に集中し、趣味の時間を楽しむ時間が少ない可能性があります。冬は特に繁忙期な場合も多く、年末まで大忙しの人も多いでしょう。

忙しいときこそ、ゆっくりする日も楽しむ日もどちらも大切です。たとえば、ウィンタースポーツもいいですし、ショッピングや映画などに出かけた帰りにイルミネーションを見るのもいいですね。

なにかをするではなくても、お気に入りの冬服を着て街を歩くのもおすすめ!

また、無理に外出しようとせず、日光を浴びたり軽い運動を継続しながら、おうちで温かい冬料理をつくるのも、冬季うつ対策の1つです。料理は栄養となるだけでなく、作っている最中は脳にいい刺激を与えてくれます。温かい料理なら、温活にもなって、質のいい睡眠にもつながるでしょう。

ご自愛で冬季うつ対策を

冬季うつは、基本的に春になれば症状が落ち着きます。しかし悪化した場合、うつ病やほかの精神疾患になるリスクも潜んでいるのです。「春になれば元気になる」と放っておかずに、紹介した対策を実践して元気な心身を作っていきましょうね。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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