3日坊主さん必見!習慣化を身につける方法【臨床心理士解説】

「やるぞ!」と決めても、数日経ったらもうやってない…ということはありませんか?決めたときはやる気があったのに、いつのまにか別のことに夢中になっているときも少なくないでしょう。「でもやっぱりもう一度!」を繰り返している人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、3日坊主になりやすい人や、飽きやすさを変える心理学的な方法を臨床心理士が解説します

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

人はなぜ3日坊主になるの?

なぜ人は3日坊主になるのでしょうか?その原因には以下のようなものがあります。

・今の方が楽だと感じている
・成功や結果につながらないと意味がないと思っている
・高いハードルを設定している
・目標が定まっていない
・自分に合う方法を見つけられていない

これらの原因の中で、みなさんには当てはまるものはありますか?

3日坊主になりやすい人は、さぼり癖がある、継続力がないと認識されやすいですが、実はそうではないパターンもあるのです。それは自分に対して「完璧を求める」「過度な期待をしすぎてる」など、自身を追い込む傾向。いわゆる完璧主義な人にも3日坊主は多いとされています。

また、ADHD(注意欠陥多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向を持つ人も3日坊主になりやすいようです。さらに近年よく聞くHSPのなかでも「HSS型HSP」に該当する人も3日坊主の傾向があります。

このように原因は1つではありません。自分がどのような理由で3日坊主になっているか理解することが、3日坊主を脱出し、習慣化を身につけることにつながるでしょう。

3日坊主をなおす心理学的な方法とは

私たちが3日坊主を脱出する方法は1つではありません。ここでは、心理学的にもおすすめできる方法をご紹介します。

自己理解を深める

3日坊主の原因でも解説したように自己理解を深めることが第一歩です。

世の中にはさまざまな3日坊主解消法が出ていますが、全ての人に効果的な方法は存在しません。自分に合う方法を見つけるために自己理解を深めていきましょう。

<自己理解を深める方法>
・3日坊主になったものや理由をリストアップ
・自分の性格や特徴を考えてみる
・周りに自分の性格や相手の工夫を聞いてみる
・性格診断を受けてみる
・MBTIをやってみる

MBTIとは、世界三大心理学者のユングのタイプ論をベースに研究された性格テストです。日本語訳はされていますが、やや海外の傾向がベースに作られているので設問によっては「ん?」と迷うものもあるかもしれませんが、結果はなかなか参考になります。

ただし、MBTIの各特性については一般の方が書いているものよりも、資格者や心理学を研究している人のものを参考にされることがおすすめです。日本では近年流行していますが、海外では10年以上前から書籍が出版されています。

また、MBTIの結果を見ると「世界で〇%」という表記がたまにありますが、海外の結果を基準としたパーセンテージです。結果にこだわらず、あくまでも自己理解の参考ツールとして活用してみましょう。

目標設定を具体的に行う

ダイエット・ヨガ・ピラティス・勉強・早起き…何においてもこの「目標設定の具体化」は重要です。

目標設定をあいまいにすることは、人の継続力を減らしてしまう恐れがあります。目標の具体化は、なにかに取り組むうえで欠かせない存在なのです。

また、目的と目標の違いも区別しておくと具体化がしやすくなります。目的とは、いわゆる最終的にたどり着きたいゴールのこと。たとえばダイエットなら「夏までにー10kg」は目的です。

一方で目標とは、目的達成のための過程のことを指します。過程が明確になっていないと何をしたらいいのかわからないですよね。だからこそ具体的な目標設定が重要なのです。

目標設定を具体的にするコツは、目的を達成したいと強く思い、実現した未来を具体的に想像できるようにすること。そして、その手段である目標はワクワクする感覚と現実味の塩梅が重要です。

このあと解説することから、人は同じことを毎日続けることで飽きる可能性がある理由がわかります。最後までぜひ、読み進めてみてくださいね。

適度な変化・刺激を加える

心理学には「馴化(じゅんか)/脱馴化」という現象があるといわれています。

馴化とは、簡単にいえば「慣れ」です。
人は同じ刺激を繰り返すと慣れてしまうという現象が馴化。この馴化は、新しい環境に慣れていくためには必要なことですが、なにかに挑戦したいときには「別のことがしたい…」「飽きたな…」「今日はやめてもいいかな…」と感じる場合もあります。

3日坊主になりやすい人が、馴化を防ぐ方法に必要な現象が脱馴化です。脱馴化とは、刺激(状況)に馴化した状態で、新しい刺激を与えることで、反応(やる気など)が復活する現象のこと。心理学では「馴化ー脱馴化法」として知られています。

たとえば、毎日同じルートを散歩していたら、「なんかこの景色飽きたな…」と思うことってありませんか。そのようなときにルートを変えたり、帰りにカフェによってみるなど、いつもと違う選択をすることで、ちょっと飽きていた散歩が「楽しかった」に変わる、これが馴化ー脱馴化法です。

3日坊主になりやすい人は、馴化ー脱馴化法を3日目に入れてみると新鮮さを感じて4日目も継続できるかもしれません。毎日同じことを繰り返せば飽きがくるのも当然。ですので、「工夫をしながら続ける」という捉え方に変えてみるのもいいかもしれませんね。

スモールステップを実践する

3日坊主になりやすい人の特徴に「ハードルの高い目標を立てやすい」「完璧にこなそうとする」などがあります。これらの特徴を持つ人が、今までよりも長い期間、物事を続ける方法がスモールステップです。

<スモールステップとは>
言葉の通り「小さな段階」を意味します。3日坊主を卒業し、習慣化させるには「これくらい簡単だよ〜」というところからステップを作り、成功体験を積み重ねることです。設定した段階を表やリストで見える化しておくと、モチベーションも低下も防ぎにくくなります。

たとえば、英語の勉強を習慣化させたい人は「1日5分、英単語帳を見る」「1日3個、英単語を覚える」などはどうでしょう。特に社会人は忙しいにも関わらず「毎日1時間勉強する」と決めたことはありませんか?キリがいいので当然ですが、これでは長続きしません…。

もっとハードルをさげて、勉強習慣がついたら次のステップに進みましょう。小さな段階が飽きそうな予感がする人は、前項で紹介した「馴化ー脱馴化法」も組み合わせてみてくださいね。

状況別!習慣化させる具体的な方法

大まかな方法はわかっても、「明日から実践するにはどうしたらいいの?」という人も多いはず。ここでは、紹介した心理学的な方法を使った具体的なやり方を解説します。

ダイエット

まずはなぜダイエットしたいのか、ダイエットに成功したら何がしたいかを具体的に書き出してみましょう。
もし、これまでも何度かダイエットに挑戦した人はこれまで続かなかった理由や工夫できる点なども書いてみてくださいね。

自己理解が深まったら、スモールステップと順化ー脱順化法を意識しながら目的・目標を設定してみましょう。たとえば「週3日、出勤前に3分腹筋する」「月・木・土、仕事終わりに1駅歩く」「月曜と金曜だけおやつOK」など、「時間やタイミング・やること」を具体的に決めるなどです。

曜日を設定することで、できなかった日に自分を責める可能性がある人は曜日より「出勤前」「仕事のあと」などタイミングを大事にしてみてくださいね。

運動習慣

ダイエットと自己理解や目標設定の仕方は似ていますが、運動を3日坊主にしない方法は「ながら・ついで」がいいかもしれません。

<ながら・ついでの例>
・エスカレーターではなく階段を使う
・フロアモップではなく、雑巾で掃除する
・ドラマのCM中に筋トレする など

運動習慣がつきにくい人は、運動の時間を無理やりつくって続かなくなる傾向があります。「ながら・ついで」で運動が苦ではなくなってきてから、時間をつくると続けられて、ステップアップもしやすいでしょう。

勉強や読書

大人の脳は「目的」や「必要性」を感じたものに対して、意欲も記憶力もあがりやすいといわれています。そして、忙しくて時間がとれないことも3日坊主になりやすい原因の1つです。

まずは勉強も読書も「なぜ、それを勉強したいか(読みたいか)」を明確にしましょう。

そして、30分や1時間などではなく「5〜15分」などもっと細切れで考えてみるのがおすすめです。休日など時間が取れそうなとき、まとめてできることをすればOK。生活スタイルに合わせた計画を立ててみてくださいね。

考え方のクセ 

ここまで紹介した具体例のなかで、もっとも時間がかかるのが「考え方のクセ」です。長年付き合ってきたことなので、そう簡単には変えられないのも当たり前です。根気強さも重要となってきます。

「3日坊主をなおす心理学的な方法とは」で紹介したなかでは、適度な変化・刺激を加えるの取り入れ方だけがちょっと違うので注意しましょう。

そこでおすすめの方法が、マイナスに考えた日を責めずに寄り添ってあげること。

今までは「このままだったらどうしよう…」「また失敗しちゃうかも…」と心配や不安を抱えていた人も「そう思うときもあるよね」「それくらい真剣なんだね」と自分の気持ちを受け止めてあげるのです。

すぐに変わろうとすることは、エネルギーにもなりますが焦って自分を苦しめかねないですからね。

最初は難しいかもしれませんが、少しずつ取り入れてみてください。そして、自分だけで解決しようとせずカウンセラーなどプロの力も借りるようにしましょう!

毎日できない=ダメではない!できる方法を考えてみよう!

ここまで習慣化する方法を紹介しました。
しかし、一番大事なことは「毎日絶対続けること」ではなくて「できた・がんばった」という感覚です。3日坊主はあまりいい印象ではないかもしれませんが、3日目までできて、もしも4日目は休んだけど5日目からまたできた…十分ではないでしょうか?

もちろん毎日続けられたら最高だと思うので、毎日続けられる方法を模索するのもあり。自分に合う方法で、習慣化を身につけていきましょう!

習慣化できない自分を責めるのではなく、自分が一番の応援団になってあげてくださいね。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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