水泳で得られる3つのメンタル効果と5つのメリット【臨床心理士解説】

水泳は有酸素運動のなかでも、楽しみながら日常生活で使わない筋肉を水中で動かすため、メンタルや身体に様々な効果が期待されています。泳ぐことが苦手な人でも、水中ウォーキングだけで十分効果を得られるため、ストレス社会で生きる“大人の趣味”の1つとしておすすめのスポーツです。では、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか?そこで今回は、水泳のメンタル効果と健康や美容に関連するメリットについて臨床心理士が解説します。

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

水泳はメンタル効果が期待できるのはなぜか

子どものころ、夏の授業の定番だった水泳。子どもの習い事としても人気ですが、大人の趣味としても注目されています。実は水泳にはメンタル効果が期待され、特に現代社会でストレスを抱える大人にとって最適のスポーツなのです。

その理由は、水泳は幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌される有酸素運動のため、リラックス作用やストレス解消などの効果が期待できるから。まずはメンタル効果が期待できる理由を3つの視点から紐解いていきしょう。

うつ症状や不安軽減

水泳はうつ症状や不安軽減の効果があると期待されています。その理由は冒頭でもご紹介したセロトニンが分泌されるからです。セロトニンが分泌していると、自律神経のバランスが整い、感情のコントロールがしやすくなるといわれています。

また、うつ症状を持つ患者に対する運動療法研究の観点からも、有酸素運動はメンタルと体力回復が期待できるのです。より効果が出やすいのは、元々継続的に運動をしていた人という研究結果もあるため、予防と回復両方の観点からも水泳を含む運動はメンタルに良い影響を及ぼすとされています。

ストレス科学研究『うつ病運動療法の現状と展望』 2013, 28, 20-25

自律神経のバランス調整

自律神経のバランスが整えば、うつ症状や不安軽減以外に身体を過度な緊張状態になりにくくすることができます。そうすることでストレスをため込みにくくなり、疲れにくい心と身体を手に入れられるのです。

仕事をしていると、一定時間同じ姿勢になったり、顔をしかめて考え事をしたり、無意識のうちに口を閉じて口呼吸を忘れたり…ということはありませんか?水泳は有酸素運動の中でも全身運動であり、呼吸法が重要です。自律神経は自らの力でコントロールしきれない部分もありますが、呼吸ならある程度コントロール可能になります。水泳で呼吸を意識してみましょう。

また、水泳は水の中という特殊な場所に身を置きますよね。普段使わない筋肉を使うことにもなるため、身体がほぐれてメンタルも安定していくのです。

空間認識能力・集中力向上

メンタルとは心のことだけではありません。集中力や思考力、空間認識能力と呼ばれる脳の機能も深く関わっています。水泳は、その「集中力」「空間認識能力」「思考力」を高めるのにぴったりな運動なのです!

集中力
集中力が向上すると、人は自分の能力を最大限に発揮する機会が増えます。ぼーっとしている時間よりも、集中している時間の方が作業効率があがったり、物事を注意深く見ることができますよね。
空間認識能力
空間認識能力とは、一般的には距離感の把握能力といわれています。たとえば、ボールを相手にパスするコントロール力や、人・物にぶつからずに歩けることなどを指します。仕事面でいうと図や表、数値の理解の早さや物事の成り立ちを把握する力が該当するでしょう。特にパイロットや建築士、スポーツ選手などはこの能力が高い人ばかりですよ。
思考力
思考力は「考える力」のこと。思考力が高いと、円滑なコミュニケーションや物事を順序だてて取り組みやすくなります。自分で考えられる力が今よりもつけば、他人や情報に振り回されることなく、落ち着いて判断できる力もつくでしょう。

「集中力」「空間認識能力」「思考力」がある程度高いことで、仕事でミスをしにくくなる、自分の能力を発揮できる、得意なことが増える、理解が深まるなどの効果が期待できます。つまり、メンタルが落ちやすくなるストレスの原因を減らすことができるのです。

水泳で得られるメリット5選

メンタル効果以外にも水泳で得られる効果はまだあります。さまざまな効果を知って、ぜひ日常の中に水泳を取り入れてみてくださいね。

①睡眠の質向上につながる

睡眠不足はメンタルに影響を及ぼし、メンタルの不安定さは睡眠に影響を及ぼすなど密接な関係があります。

前項で紹介したセロトニンの分泌は、睡眠に必要なメラトニン分泌を助けてくれます。運動と睡眠の研究は数多くありますが、入眠までの時間短縮、つまり寝つきがよくなるという結果がよく見られるのです。

なかでも水泳は、水中で自身の体温を守るために身体が無意識にエネルギーを消費します。みなさんは子どものころ、プールの授業のあと眠たくなった経験はありませんか?おそらく、普段の体育の授業ではそこまで眠くならなかったでしょう。

水泳は有酸素運動のなかでも、いい意味で疲労を原因に睡眠へと導いてくれるのです。ただし、運動と睡眠のメカニズムは、体温上昇後のゆっくりとした体温低下が関連しています。仕事終わりに水泳に行く場合は就寝の2時間くらい前には終わらせましょう。

②消費カロリーが高い

水泳はダイエット目的で行う人も多いスポーツです。消費カロリー量は有酸素運動のなかでも上位に入るほど高く、バタフライやクロールであればキックボクシングやラグビー以上といわれています。

また、浮力の影響で水中ウォーキングでも十分ダイエット効果は期待できます。水中ウォーキングは、軽い筋トレやウォーキングよりも強度があるのです。水泳が苦手な人も、水中ウォーキングや水中で軽く身体を動かすだけで、ウォーキング以上の効果が期待できますよ。

ダイエットしたい人のなかには、メンタル面も改善したい、前向きな気持ちや自信が欲しいと思っている人も多くいます。水泳なら、メンタル向上とダイエット効果の両方が期待できるでしょう。

厚生労働省:標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会第3回資料
スポーツ庁 Web広報マガジン|「運動強度(METs)」で見る、効果的な身体活動は?

③全身の引き締め効果がある

水泳は先述の通り、全身運動です。下半身がメインになることも、上半身のみを鍛えることもなく、体幹を含む全身を使って泳ぐことになります。ダイエットではなくても、美しい身体を手に入れたい、健康的な体型になりたい人は多いですよね。

水に抵抗しながら、全身を使って運動する水泳は身体を引き締め、理想の姿を手に入れられる運動でしょう。理想の姿を手に入れられれば、自分に自信もつきます。メンタル面の安定にもつながって、いいことばかりですね。

④血液の流れがよくなる

水中では、水圧によって血管や筋肉が圧迫されます。圧迫と聞くといいイメージではないかもしれませんが、圧迫されることで血流がよくなり血行促進効果が得られるのです。マッサージもある程度の力が入って身体を圧迫していますが、終わった後はスッキリしていますよね?

水泳は、水圧でマッサージのような効果も期待できるのです。血流がよくなると冷えやむくみ、肩こりなどの改善につながります。また、老廃物を排出してくれるのでデトックス効果も高いといわれていますよ。

⑤女性に嬉しいメリットが多い

子どもにも大人にも人気の水泳ですが、なかでも女性に嬉しい効果が期待されています。ここまで紹介した「3つのメンタル効果」「睡眠の質向上」「消費カロリー量の多さ」「全身の引き締め効果」「血流促進」はすべて女性の悩みを解決に導いてくれる効果なのです。

たとえば、冷え性や肩こり、猫背などに悩む女性は多いですが、どれも先に紹介した効果が得られれば、緩和していくと考えられます。

また、水泳はセルライト解消効果も得られ、脂肪がつきやすかった身体が痩せ体質になるだけでなく、美ボディへと変身するのです。そして透明感のある艶やかな美肌を目指すこともできます。メンタル・ダイエット・美容・健康効果が期待できる水泳は、ストレスを抱えやすい女性にとっておすすめの運動ですよ。

メンタルに効果的な泳ぎ方はある?

水泳のメリットや効果は理解できても、実際にどのように取り入れたらいいかは難しいところですよね。ここでは「どれくらい泳げばいいの?」「泳ぎ方のコツはある?」といった疑問にお答えします!

週1日1時間程度で効果あり

メンタル安定や気分転換のためなら週1日1時間で十分効果は得られます。一方で、運動習慣化やダイエット目的なら週2以上がおすすめです。まずはどのような目的でも、週1日からはじめて、徐々に日数や時間を増やしてみてもいいかもしれません。

ただし、睡眠まで最低でも2時間はあけてください。仕事帰りに行く場合は、就寝時間と逆算したスケジュールを組みましょう。泳いで適度な疲労感で1日を終えることで、脳も身体もリラックスし、いい睡眠につながりますよ。

メンタル面のみならクロールや平泳ぎ

メンタル安定やストレス解消目的なら、クロールや平泳ぎでOKです!

泳ぐのが苦手な人は水中ウォーキングでも問題ありません。まずは水に慣れること、そして水泳の時間を楽しむことがメンタル安定に必要不可欠といえます。

また、ダイエットも兼ねてという人は水に慣れてから徐々に背泳ぎやバタフライにも挑戦してみましょう。先程も解説したように、水泳のなかでもバタフライが最も消費カロリー量の多い泳ぎ方です。楽しい範囲で身体のために、少しずつ工夫してみるのもいいかもしれませんね。

まずは週1の水泳効果でメンタルを安定させよう!

水泳のメンタル効果を中心に、さまざまな水泳のメリットをご紹介しました。
水泳は日常では体験できない身体の使い方をする有酸素運動です。最初は筋肉痛になるかもしれませんが、数日経てば落ち着きます。水泳はセロトニン分泌や集中力向上、血行促進などメリットの多いスポーツなので、落ち込みやすい人やストレスがたまりやすい人におすすめのスポーツです。

疲労感を得ることで、睡眠の質も向上し、メンタルにいい作用をもたらしてくれることでしょう。泳ぐことが苦手な人も、水中ウォーキングでOKです。子ども時代とは異なり、自分の好きに泳げるので意外とハマるかもしれません。もちろん、水泳だけでメンタルが安定するわけではないので、生活習慣や柔軟な考え方も取り入れていきましょう。

また、水泳以外にもメンタル効果のあるスポーツはたくさんあります。関連記事もよかったらご覧くださいね。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

https://www.instagram.com/_cpsakura/
https://www.instagram.com/_saki.sakuhana/