幸せになる方法とは?科学的に証明された7つの行動を臨床心理士が解説

皆さんにとって「幸せな状態」とはどのような状態でしょうか?一人ひとり違うからこそ、他人の幸せをうらやましく感じ、自分が幸せではないと思うこともありますよね。そこで今回は、科学的に根拠のある「幸せになる方法」を臨床心理士がご紹介します。皆さんが今よりもっと、自分自身が幸せと感じられることを願っています。ぜひ参考にしてくださいね。

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

幸せとは満たされた状態のこと

近年、幸福を表す言葉としてWell-Being(ウェルビーイング)という概念が注目されるようになりました。Well-Beingは、心理学者のマーティン・セリグマン氏が提唱した「ポジティブ心理学」という学問で研究されている概念の1つです。

ポジティブ心理学とは、1998年に創設された先行の諸学問と結びつけつつ「ネガティブもポジティブもどちらもあるうえで、幸せに生きること」を研究する心理学のこと。その学問におけるWell-Bingとは、身体的・精神的・社会的に健康な状態を表します。

また、はじめてWell-Bingという言葉を使ったWHO(世界保健機関)でも「健康とは、自身が身体・精神・社会的に満たされている状態」と定義されています。病気や病弱の有無は関係ないということ。私たちにとって幸せ・幸福とは自分が「満たされていると感じている状態」なのです。

何が必要?幸せな人に共通する特徴

では、満たされた状態とはどのような状態なのでしょうか?

幸せな人に共通する特徴から考えてみましょう!

  • 笑顔を心がけている
  • ポジティブな言葉を意識する
  • 自分の気持ちに素直でいる
  • 周囲に感謝する
  • 過去や他人に執着しない
  • 自分の好きなことを楽しめている
  • 夢中なことや一生懸命なことがある

特徴を見てみて、皆さんは何を感じましたか?幸せな人は自らの幸福を掴みにいっているのかもしれませんね。だからこそ、皆さん平等に幸せになる権利があるのです。

科学的におすすめ!幸せになる方法7選

幸せになる方法は数多くありますが、ここでは科学的に根拠のあるおすすめの方法を紹介します。今よりもっと幸せになるために、以下の方法をまず1つから意識してみましょうね!

幸せになる方法①自分の健康を大切にする

幸せホルモンの1つであるセロトニンは気持ちの安定に深く関わりのある神経伝達物質です。セロトニンが不足していると、気持ちに余裕がなくなり、意欲低下やイライラ感、疲れやすくなります。気持ちに余裕がないと幸せは感じにくいですよね。

心と身体が満たされた状態になるためには、セロトニンの分泌が必要です。そのセロトニンを分泌させる方法が、日光を浴びて運動する、そして質のいい睡眠、栄養を摂ること。つまり、健康を大切にすることが幸せへの一歩となります。

参考
樺沢紫苑「精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法」

幸せになる方法②人とのつながりを大切にする

「Well-Being」を構成する要素は5つあり、ポジティブ心理学ではこの構成要素を「PERMA」と呼んでいます。

  • ポジティブ感情(Positive emotion)
  • 没頭・フロー状態(Engagement)
  • 良好な人間関係・関係性(Relationship)
  • 生きる意味・意義(Meaning)
  • 達成感(Accomplishment)

この5大要素のなかの「関係性(Relationship)」は、人と人とのつながりを大切にすることです。関係性は、幸せホルモンの1つであるオキシトシンにも関わります。自分にとって、大切な人との繋がりを居心地のよいものにすることは幸せにきっと繋がりますよ。

まずは、自分が大切にしたい人を思い浮かべ、その人とどのような関係を築いていきたいか考えてみましょう。

参考
日本ポジティブ心理学協会

幸せになる方法③感謝の気持ちを忘れない

心理学者のロバート・エモンズの科学的研究によると、感謝することはセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質にいい影響を与えることがわかりました。

この感謝は人に対してだけでなく、物や環境、制度・サービスなど、私たちが日々関わることに対してもです。近くにあるものこそ、感謝することが皆さんを幸せな気持ちにしてくれますよ。

たとえば、電車は運転手や清掃員、駅員、整備士など様々な人の力によって毎日スムーズに動いています。当たり前に使っているものに対する感謝の気持ちも、私たちの幸せに必ず繋がるのではないでしょうか。

そして、自分への感謝も忘れないこと。「自分への感謝」とは、自分を労うことや大切にする気持ちです。最も私たちを支えてくれているのは、皆さん一人ひとりの心と身体なのですから、あたたかい眼差しで自分のことも見てあげましょうね。

参考
一般財団法人日本予防医学協会
「感謝」の心理学 ~心理学者がすすめる「感謝する自分」を育む21日間プログラム

幸せになる方法④ネガティブな気持ちも大事にする

ポジティブ心理学では「ネガティブもポジティブもどちらも存在すること」を前提として幸福を研究しています。

人は生きていれば悲しいことや悔しい出来事を避けられません。また、ネガティブがゼロになることで危機管理能力が弱まり、想定外の出来事に対応できない場合もあります。人が幸せに生きていくうえで、ネガティブはとても重要な感情の1つなのです。

また、所説ありますが「ポジティブ感情3:ネガティブ感情1」というバランスが黄金比という研究もあります。ネガティブ感情をゼロにしようと意識してしまうと、一瞬でもネガティブになった自分を責めてしまうのではないでしょうか?

自分を幸せにするためには、ネガティブ感情も必要なのですよ。

幸せになる方法⑤スモールステップで行動してみる

スモールステップとは、目標を細かく分け、できることから徐々にクリアしていくことです。

もともと心理学者のスキナーによるプログラム学習の1つで、小さな目標から段階的に達成し、モチベーションを維持しながら大きな目標に向かう手法とされています。階段を一段一段丁寧にのぼるイメージをするとわかりやすいかもしれません。

幸せになりたい人のなかには「早くこの現状から抜け出したい」と焦りを抱える人もいるでしょう。この気持ち自体は、皆さんが幸せになるためのエネルギーとなります。

ただし、焦りすぎることは今の自分を否定したり、すぐ叶わないことによる諦めやすさにも繋がります。モチベーション維持と、安定な気持ちを作るためにもスモールステップを取り入れてみましょう。

幸せになる方法⑥マインドフルネスを習慣づける

近年、耳にする人も多くなったマインドフルネス。瞑想や座禅のイメージもありますが、マインドフルネスの本当の意味は「今、ここ」に集中できる精神状態を作り出すことです。

マインドフルネスには、ストレス耐性の向上や不安解消のほか、作業への集中力アップやコミュニケーション能力を高める効果が期待されています。マインドフルネスの習慣を身につけることで、日々のストレスに動じにくい安定な心を手に入れることができるでしょう。

また、ぼんやり過ごすこともマインドフルネスに近い状態を得られます。ぼーっとして脳を休ませる時間を1日の中に取り入れてみるのはいかがでしょうか?

参考
ワタシノコト:【エキスパートから学ぶ】禅僧・精神科医 川野泰周さん【前編】自分の人生 「主人公」として生きる

幸せになる方法⑦定期的な運動習慣をつくる

「幸せになる方法①自分の健康を大切にする」でも解説したように、私たちの幸せには健康が欠かせません。そのためにも無理のない範囲で、定期的な運動習慣をつけましょう!

ただし、運動不足の人が毎日30分以上の運動にチャレンジするのは「心や身体の不調」につながります。それこそ⑤で解説したスモールステップの出番ですね。

たとえば1日3分のストレッチや、ゴミ出しのついでに家の周りを1周など、ハードルをさげて運動しましょう!継続することでWell-Beingに必要な要素の1つ「達成感(Accomplishment)」も得られます。

また、ヨガはストレス解消や自律神経を整える効果が期待されています。ウォーキングや筋トレよりも、ゆったりとした動きで呼吸も意識する運動なので、幸せになりたい人におすすめです。

自分で自分の行動を認めながら運動して、心も身体も満たされる状態を目指しましょう!

幸せはあなたのすぐ近くにある

幸せになりたいと願う人のなかには、過去や未来に目が向きすぎていることで、本来の幸せを見失っている可能性が考えられます。ご紹介した方法を試しても「なんだか心が晴れない…」という人は、医療機関の受診やカウンセリングも検討してみましょう。

医療やカウンセリングは、病気の人だけのものではありません。予防のために活用することも推奨されています。皆さんが今より幸せになるために、自分の心身の健康を大切にしてくださいね。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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