セックスレスの対策方法は?臨床心理士が解説【定義・原因・離婚率】

日本人カップルの5割以上が悩むといわれる「セックスレス」。決して恥ずかしいことではないですが、なかなか友人などには相談しにくい話題ですよね。そこで今回は、レスに悩む女性に向けてセックスレスになる原因や、対策を臨床心理士の資格を持つ筆者が心理学的視点から解説します。また、オンラインカウンセリングでは女性側が性行為を好んでいないケースとも出会うため、後半では性行為を望まない場合の対策にも触れていきます。

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

セックスレスに定義はあるの?

セックスレスに関する法的な定義はありません。性行為に対する価値観は個人差が大きく、人によって週1日で多いと感じる人もいれば、セックスレスだと感じる人もいるのです。

法的な定義はありませんが、日本性科学会の定義では「1ヶ月以上」性交渉がない場合といわれています。ただし、特別な事情(妊娠中、子育てや仕事で忙しい、出張中など)があれば別問題です。セックスレスの定義は「特別な事情がないカップル間で、合意のうえでの性交渉が一定期間(目安は1ヶ月)なく、今後もその状態が長期化される場合」と考えるといいでしょう。

日本性科学会の定義は30年ほど前のものなので、現代の日本人にはやや当てはまりにくいともいわれています。1か月以上セックスレスだからといって「定義に当てはまる!」と焦らずこの先の記事もぜひ読んでくださいね。

参考:大阪法律事務所
アディーレ法律事務所
日本性科学会

セックスレスの原因とは?考え方の違いを知ろう

ジャパン・セックス・サーベイ2020の調査では、婚姻関係のある者のセックスレス状態は51.9%という結果がでました。これをみなさんはどう捉えますか?ここでは、なぜセックスレスとなるのか、考えられる原因を探っていきましょう。

※ジャパン・セックス・サーベイ2020とは、一般社団法人日本家族計画協会がコンドームメーカーのジェクス株式会社から依頼を受けて実施した調査のこと

セックスレスの原因1:「仕事で疲れている」

一般社団法人日本家族計画協会によると、セックスレスの原因には男女差があるようです。男性の1位は「仕事で疲れている」、女性の1位は「めんどくさい」ということがわかりました。性交渉の目的の違いは原因の1つと考えられます。

また、ジャパン・セックス・サーベイ2020の調査結果では、性行為の目的に男女差があることが明らかとなりました。

  • 男性

「性的な快楽が目的(69.8%)」「愛情を表現するため(56.5%)」「子どもが欲しいから(19.7%)」

  • 女性

「愛情を表現するため(56.1%)」「ふれあい(コミュニケーション)のため(45.1%)」「相手に求められるから(27.8%)」「子どもが欲しいから(26.0%)」

ただし1位であっても5~6割であり、年代によっても差があるため、同性間でも価値観が分かれると考えられます。まずは男女の価値観の違いと、個人の価値観を理解すること。これがセックスレス対策を考える方法の1つとなるでしょう。

セックスレスの原因2:「家族になったから」

「家族になったから」もよくある理由の1つにあげられるでしょう。恋愛と結婚(家族愛)を分けている人は一定数いると思われます。

また、子どもができて「父」「母」になったことによるセックスレスもよく聞く話ですよね。「妻・母」「夫・父」という恋人時代にはなかった役割の変化もセックスレスの原因と考えられます。

セックスレスの原因3:それぞれの価値観の違い

セックスレスの原因は男女の違いだけで捉えられない部分も多くあります。原因1でも触れたように、目的の違いに男女差はあるものの個人差も忘れてはなりません。

2023年は「あなたがしてくれなくても」というセックスレスをテーマにしたドラマが話題を呼びました。このドラマでは、女性側がレスに悩む夫婦と、男性側がレスに悩む夫婦が描かれ、女性側の「仕事が忙しい」「疲れている」という理由に「私も…」と感じる女性もいたといわれています。

セックスレスは以前よりも身近なものとなり、男女問わず悩みの1つであることが容易に想像できますよね。男性だから女性だからと考えず、目の前のパートナーを見ることが重要であると考えさせられるドラマでした。

性行為に抵抗がある側も、抵抗されている側も、理由には個人差があることを念頭に対策を考えていきたいですね。

離婚率が高い原因はほかの課題もある

セックスレスが原因の離婚率は、米国の調査が多く日本人対象のものは少ないのが現状です。

しかし日本の場合も、セックスレスを理由に離婚を考える人は一定数いるといわれています。セックスレスをきっかけとして「信頼関係が破壊する」「コミュニケーションが不足する」「浮気したくなる」などによって離婚する夫婦も少なくないでしょう。

また、そもそもセックスレス以前にコミュニケーション不足や子育ての価値観の違いなどから、交流が少なくなっているケースも多くあります。だからこそ離婚率はなかなか算出しにくいのでしょう。現在、セックスレスに悩んでいる人はほかの課題にも目を向けてみてもいいかもしれないですね。

セックスレスを対策したいなら?お悩み別の解決方法

セックスレスを解決したい人に向けて対策をご紹介します。あくまでも一例のため、参考程度にしながら「目の前のパートナー」と「自分」を見てくださいね。

【対策1】女性として見てほしい場合

夫や彼氏に拒否されて「魅力がなくなったのでは」「浮気しているかも」と不安になる女性は少なくありません。

自分を責めず、夫や彼氏が本当にあなたを魅力のない女性だと思っているか考えてみましょう。たとえば、コミュニケーションは取れている、頻繁に一緒に外出している夫婦・カップルでもレスになることはあります。

実は夫側が性交渉に関心がなかったというパターンや体力問題もあるようです。自分の課題だけに目を向けず、夫・彼氏の愛情表現がほかにないか探してからでも遅くはないでしょう。

また、話しにくいことではありますが、不安な気持ちをパートナーに落ち着いて伝えることも大切です。その際、相手の意見も尊重しつつ「私はこうしてくれたら嬉しい」と自分の気持ちも伝えてみるのも対策のポイントの1つですよ。そのうえで、外見や内面に磨きをかけることは「自分のため」になるでしょう!

【対策2】妊活したい場合

「子どもが欲しいから」という理由で性行為を求める人は男女共通して一定数います。それを断られた場合も、まず自分の悲しい気持ちを大切にしましょう。断られてネガティブな気持ちになることは当たり前のことなのです。

そのうえで、子どもが欲しい価値観が一致しているかどうか話し合いましょう。そこがズレていては、性交渉も上手くいかない可能性は高くなります。

もしパートナーに「子どもはいらない」「今はいらない」といわれた場合は、まず落ち着いて理由を聞きましょう。勇気のいることとは思いますが、パートナーの本音を探っていくのです。

たとえば理由には「経済的に厳しい」「親になることへの不安」「子どもが苦手」「仕事や自分に時間を使いたい」などが考えられます。解決できる方法はあるか考えるためにも、理由は聞いた方がいいでしょう。もし解決できないことであれば、互いにある程度納得のいく方法を探していくことも重要です。

自分たちだけでは対策が難しい場合は、カウンセリングもしくは、カップルカウンセリングの利用もおすすめします。

【対策3】「昔はしていたのに」と過去と比較した場合

付き合い始めや結婚当初、子どもが授かるまでなど「以前はしていた」ということで、「今の自分に魅力がないのでは」と感じる人も少なくありません。とても不安ですよね。

マンネリ化と捉える人もいますが、対策1と同様にほかの面にも視点を向けることは重要です。たとえば「子どもがいて気になるからできない」という場合と「実は性行為が好きではなかった」という場合ではできる対策も異なりますよね。

まずは自分の気持ちを大事にしつつ、あなたがパートナーと性行為したいのはなぜか考えてみてもいいかもしれません。たとえば愛情表現としてであれば、ほかの愛情表現の方法がないかも考えてみましょう。また、相手の意見を聞いたうえで自分の気持ちも伝えてみてもいいですね。

話し合える関係性であれば、性行為以外の「新しい愛情表現の形」を2人で模索していくなかで、セックスレスも互いに納得できる対策はないか2人で考えてみましょう。良好なコミュニケーションが築けていて、互いに幸せならセックスレスにこだわらなくてもいいかもしれません。

【対策4】女性側がしたくない場合

一方で性行為を女性が拒否したい・しているケースもあります。この場合も自分を責めず、セックスレスの解決の前にパートナーとの関係を改めて考えてみるといいでしょう。

男性同様に、女性側が性行為を求めないケースは意外とあります。男性と異なる理由には「痛い」「生理痛やホルモンバランスの影響」「生活面で相手の嫌な部分が見えるようになった」「コンプレックスやトラウマ」などがあげられるようです。男性以上に女性は心のつながりを重要視していますからね。

女性側の性行為への抵抗は、精神・メンタル面の原因が主であり、非常にデリケートな問題と考えられます。

まず心の専門家として言えることは、無理にパートナーにあわせる必要はない、ということ。関係が崩れるのは怖いかもしれないですが、その場合はセックスレス以外に夫婦間の課題があります。性まず、セックスレスも含めたパートナーとの関係性について改めて考えてみましょう。

断るのも行為自体も辛い場合は、必要に応じて一旦距離をとることも選択肢の1つです。対策はセックスレス問題を解消するだけではありませんよ。

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リビドー ベリーロゼ

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ラブコスメ リュイール ホット

女性の敏感な部分に塗ってマッサージする、ベッド専用コスメ。
ベッドに入る前に塗って自分の気分を高めたり、パートナーに塗ってもらったり、パートナーとのセックスのきっかけに。

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対策だけを考えないことも大切

「セックスレス=性行為の問題」とは限りません。たとえば、「最近帰りが遅い」「別行動が増えた」「話しかけても冷たい」「家事や子育てを手伝ってくれない」「嫌なところが増えた」など、日々蓄積される思いがセックスレス自体や、セックスレスに気づく原因の1つにもなります。

セックスレスを解消しようと考えすぎることで、相手の本音に気づきにくくなり、最終的に互いに傷つく場合もあるでしょう。

対策を考えることも重要ですが、自分の気持ちを大事にすることと、パートナーとの関係性の見直しを先にしてもいいのではないでしょうか。

特に女性や女性性の高い男性は、性行為がないと「愛されていない」と感じやすいですが、人によって愛情表現の手段は異なります。相手の愛情表現方法と、自分もパートナーにどのくらい愛情表現しているか考えてみてもいいかもしれませんね。

そして何より、自分に魅力がないと考えず、自己を肯定することが自分の心を守ることにもつながります。

セックスレスは自己否定の原因にもなる、カウンセリングの力も借りよう

最後に、性行為を拒否されている側も性行為したくない側も、その状態が悩みの種となることで自己否定の原因にもなりかねません。愛情表現やスキンシップは性行為以外でも可能かもしれない…執着しすぎないことで、意外にもセックスレスの悩みが緩和するケースもあるでしょう。

自分や相手を責めて苦しくなりすぎる前に、まずはカウンセリングやカップルカウンセリングを受けてみるのも1つです。一人で悩まずに、一歩踏み出してみること。みなさんの心が少しでも軽くなることを願っています。

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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