ヨガのメンタル面の効果とは?臨床心理士が解説【期間や頻度/ピラティスとの違い/おすすめポーズ5選】

ヨガの効果は身体に関することだけではありません。リラックスやリフレッシュなど、ストレス解消やメンタルヘルス・精神的効果も期待できます。しかし、実際にはなぜ効果があるのか、どんなポーズならより効果的か知らない人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、ヨガのメンタルヘルス効果や健康に関する効果を心の専門家である臨床心理士が解説します。最後にはおすすめのポーズも紹介しているので、ヨガを実践してメンタルを強化しましょう!

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

ヨガがもたらすメンタルヘルスケアの効果

ヨガはメンタルと身体に効果的なスポーツ・エクササイズの1つです。メンタル効果はいくつかありますが、ここでは代表的な4つを紹介します。

  1. 自律神経のバランスを整える
  2. 不安やストレスを解消する
  3. 自分を客観視できる
  4. 幸せホルモンを分泌させる

それではさっそく詳しく解説していきますね。

メンタル効果①自律神経のバランスを整える

ヨガは自律神経を整える効果が期待できます。

自律神経とは、私たちの身体の機能をコントロールしてくれる神経のことです。身体の機能とは、内臓の動きや体温、代謝、血圧、筋肉などのこと。これらを自らの意志と関係なく、24時間365日働き続ける神経が自律神経。

自律神経には、活発になるとき働く交感神経とリラックスするとき働く副交感神経があり、ヨガは副交感神経を優位にさせるてくれるといわれています。

日中の私たちは交感神経が優位になっていることが多いため、ヨガで副交感神経を優位にさせることで、心も身体も緊張がほぐすことができます。特にヨガのなかでも、瞑想ヨガはメンタルヘルスに効果的。瞑想ヨガは、通常のヨガ以上に「今この瞬間」の自分や、自分の内面と向き合えるでしょう。

メンタル効果②不安やストレスを解消する

ヨガのポーズは普段使わない筋肉を使う場合が多く、身体が軽くなる効果やセロトニンの分泌が期待できます。セロトニンとは、不安やイライラ、睡眠とも深く関係のある神経伝達物質のこと。

ヨガで深い呼吸をしながらポーズをとり、身体が軽くなることでセロトニンが増え、気持ちを落ち着かせてくれるのです。

また、うつ病の軽減・軽快にもつながるという研究結果もありますが、ヨガだけで確実に改善されるわけではありません。ヨガの効果を得られやすい群は主にうつ状態が軽度から中等度の成人ともいわれています。精神科等で治療中の方は、ヨガを習う前に医師に相談しましょう。また、妊娠中の方も医師へ相談してから取り組む方が安心です。

参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構 『抑うつ改善に及ぼす運動の効果』永松俊哉 著 2013
ストレス関連疾患に対するヨガ利用ガイド 患者用

メンタル効果③自分を客観視できる

ヨガは、ポーズをとることで自分自身に意識を集中させます。メンタルに不調を抱えている人のなかには、目の前の作業や見えない未来への不安、もしくは過去に意識が向きがちですよね。

ヨガは自分を客観視することの練習にもなります。その練習が心のコントロールにもつながり、日常生活でも意識できるようになっていくといわれるため、ヨガはメンタル効果があるといわれているのです。

メンタル効果④幸せホルモンを分泌させる

 「不安やストレスを解消する」で紹介したセロトニンは、別名「幸せホルモン」と呼ばれています。身体を動かすと、スッキリした気持ちになりませんか?ヨガはセロトニン分泌を手助けしてくれる効果が期待できます。

<セロトニンの分泌に効果的な方法>

  • 太陽の光を浴びる
  • リズム運動をする
  • 深呼吸する
  • 腸内環境を整える
  • 瞑想する
  • 食習慣を改善する

ヨガは呼吸を意識して身体をじっくり動かす運動なので、セロトニンの分泌を促す効果があるでしょう。ヨガでセロトニン分泌効果をさらに感じたい人は、午前中のうちに太陽の光を浴びながらのヨガもおすすめです!

ほかにもココに効く!ヨガのメリット

ほかにもヨガの効果はたくさんあります。メンタル効果以外にも、身体に効く効果もあるので、ぜひヨガを実践して心も身体も健康になりましょうね。

ヨガのメリット①体幹強化

ヨガには、筋力・体幹強化に効くポーズが数多くあります。体幹とは、胴体全体のこと。体幹を鍛えることで内臓の動きがよくなり、便秘解消や肩こり改善が期待できるといわれています。

特にヨガのなかでもアーサナは、安定した身体の状態を保つことが重要視される正しい姿勢ポーズの種類。アーサナは「坐法」を指すヨガの基本的な姿勢です。

立ちのポーズも美しく正しい姿勢があってこそ効果を最大限に発揮できますよね。アーサナを習得しておくことで、普段から正しい姿勢を意識できるようになり、体幹強化も期待できるのです。

ヨガのメリット②睡眠改善

ヨガには安眠効果もあります。ヨガはポーズをとる際に、ゆっくりと長く息を吐く腹式呼吸を意識しますが、その腹式呼吸こそが、副交感神経を優位にさせリラックスした状態に近づけてくれるのです。

ヨガの睡眠効果は、研究結果からも明らかとなっています。女性対象の研究が多いため、男性にも同様の効果を得られるかは不明ですが、ヨガは厚生労働省の資料やオンラインヨガサービスの調査によると睡眠に役立つという結果が多くありました。

特に夜眠る2~3時間前にヨガを取り入れると、副交感神経を優位にさせるだけでなく、日中の疲労回復にもつながるのでおすすめです。

ヨガのメリット③デトックス効果

ヨガには老廃物排出効果が期待できます。ヨガを始めると、眠気や頭痛、肌トラブル、身体のだるさのほか、メンタル面の不調が見られる場合もありますが、これは「好転反応」と呼ばれるポジティブな効果だと知っていましたか?

デトックスが進んでいる証拠でもあるので、過剰に心配する必要はありません。乗り越えることで、今よりもメンタル面も身体面も鍛えられるでしょう。

ただし、日常生活に大きな支障をきたす不調や、不調が1週間以上続く場合は医療機関へ受診するようにしてくださいね。

毎日やるべき?ヨガのメンタル効果が出るまでの期間

ヨガの効果が出るのは、早くても3ヶ月といわれています。個人差があるため、6ヶ月~1年以上は継続できるといいでしょう。

また、ヨガを含む運動習慣の定着化に関した研究も参考になります。たとえば、人の習慣化は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の段階を乗り越えるという考えがあるのをご存じでしょうか。

1ヶ月 日記や勉強などの行動習慣
3ヶ月 運動や早起き、禁煙、禁酒などの身体習慣
6ヶ月 メンタル面(ポジティブ思考、今持つ考え方の脱却など)
参考:習慣化するまでの期間は1〜6ヶ月!3つの段階を乗り越える方法

このほかに脳科学の観点では、行動し始めてから21日経過すると、その行動に対して抵抗感がなくなるという研究もあります。個人差はありますが、21日~30日以上継続すると身体も頭も行動を覚えるということでしょう。

しかし、毎日続けることは容易なことではありません。臨床心理士の視点としてはスモールステップで、無理なく継続することを目安に取り組むのがおすすめです。スモールステップとは、目標を細かく段階的にわけて取り組んでいく方法。たとえば「週1日からはじめて徐々に習慣化させる」「毎日3分からはじめて、徐々に時間を増やす」などがありますよ。

毎日が理想かもしれませんが、週3日(1日30分ほど)ほどやれるようになると、厚生労働省の「健康づくりのための運動指針」の基準に近づけます。まずはそこを目標としてもいいですね!

今より健康的になれるヨガの呼吸法

ヨガの呼吸法は「鼻呼吸」が基本です。鼻呼吸は鼻から息を吸って、鼻から吐く方法ですが、慣れないうちは口呼吸でも問題ありません。鼻呼吸を意識しすぎず、リラックスできる腹式呼吸ができればOKですよ。

鼻呼吸が慣れない人や不安・イライラした気持ちを抱えている人にはシータリー呼吸法がおすすめ。シータリー呼吸法は、口から冷たい空気を取り入れて、鼻から温かい空気を出すことが特徴的な方法といわれています。

イライラを落ち着かせるなどメンタル面への改善や、のどの渇きを潤す効果もあることから、夏におすすめされやすい呼吸法です。しかし、夏に限らずリフレッシュ効果があるため、ヨガの時間以外にも定期的に取り入れてはいかがでしょうか?

ヨガでメンタル安定!幸せになれるポーズ5選

ヨガのなかでメンタル面におすすめの簡単なポーズと効果の紹介します。参考になる動画もリンクを貼っているので、ぜひ動画を見ながら実践してみてくださいね。

1.集中力を高める「英雄(戦士)のポーズ」

英雄(戦士)のポーズは、大地を踏みしめ、上半身を引き上げるポーズです。下半身の強化や体幹を鍛える、血行促進にも効果的。上半身を反らすポーズでもあることから、ストレス解消にもおすすめといわれています。

2.心身の繋がりを深める「キャットアンドカウのポーズ」

 キャットアンドカウは、背中全体の筋肉をほぐすポーズで、疲労回復をサポートしてくれます。反り腰や腰痛の改善にも効果的なので、リモートワークやデスクワークの人にもおすすめ!心と身体のつながりを深め、自律神経によいポーズといわれています。

3.リラックス効果のある「チャイルドポーズ」

チャイルドポーズ(バーラ・サナ)は深い呼吸をじっくりすることで、身体を休ませる効果が期待できます。ヨガのレッスン中は、休憩のポーズとして活用しているインストラクターもいます。特に、少し強度の高いポーズをとった後などに使用されることが多いようですよ。

4.心を落ち着かせる「ヤシの木ポーズ」

ヤシの木のポーズは、メンタル安定や集中力アップの効果が期待できるポーズです。身体の中心の軸を探し、ふらつかないように立つポーズなので、自分の身体と心の状態を知ることのできるポーズでもあります。

5.前向きになれる「三日月のポーズ」

 三日月のポーズは、ダイナミックに身体を動かすことから前向きになれるといわれています。骨盤調整やむくみ改善の効果もあるため、生理痛にお悩みの女性などにもおすすめです。

ヨガとピラティスどっちがメンタル強化向き?

メンタル効果だけならヨガでしょう。ただし、ピラティスがメンタルに効果的ではない、ということではありません。

そもそもヨガとピラティスは目的が違います。ヨガは、呼吸法やポーズ、瞑想で心と身体をつなぎ、心身を安定した状態へと導きます。一方ピラティスは、身体を健康な状態へと鍛えることが目的です。メンタル面と身体の両方を強化したい人はヨガがおすすめでしょう。

メンタルに効果的なヨガを実践して、心身ともに幸せになろう!

ヨガはメンタルと身体の両方にアプローチするエクササイズ。動画を見ながら続けられる人は、ぜひ今日から早速はじめてみましょう!なかなか一人で続ける自信のない人や、きちんとした動きを習いたい人はヨガ教室がおすすめ。

YOGA ROOMでは、全国各地のヨガ教室やピラティス教室が検索できます!みなさんも日々の生活の中にヨガを取り入れて、心身の健康を目指しましょうね!

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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