季節性感情障害とは?冬になるとやる気がでない理由や症状、対策方法とは?

毎年多くの人が悩んでいる季節性感情障害ですが、今年は新型コロナウイルスのパンデミックが、さらにストレスを加える危険性があります。だからこそ、身体の変化に敏感になって対策を講じていきましょう。季節性感情障害を防ぐ方法と治療法8つをご紹介します!

季節性感情障害とは?

季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、季節の変化によって起こるうつ病の一種です。

ほとんどの場合、季節性感情障害は症状が秋から始まって冬の数ヶ月続きます。やる気やエネルギーを失い、憂鬱な日々が続きます。会社や学校を休んでしまったり、睡眠時間が長くなったり、米やパンのような炭水化物をたくさん食べてしまい体重が増えたり...といった症状が現れます。

その一方で、春から初夏に抱えて、季節性感情障害を抱える人もいます。食欲がなくなって体重が急激に減少したり、睡眠が減退したりします。

いずれの場合も、症状は軽度なものから始まり、季節が進むにつれて深刻化していく可能性が高いです。

季節性感情障害の原因

季節性感情障害の具体的な原因は、いまだに不明なままです。医師や研究者などが考えるいくつかの要因は次のとおりです。

①体内時計

秋と冬は日光が出ている時間が、春と夏に比べて短いです。日光時間の減少は、体内時計を混乱させてうつ病を引き起こす可能性があります。

②セロトニン

セロトニンレベルが低下すると、うつ病を引き起こす可能性があります。セロトニンは気分に影響を与える脳内化学物質(神経伝達物質)です。日光にあたる時間が減ると、セロトニンが低下します。

③メラトニン

季節の変化によりメラトニンレベルのバランスが崩れることで、睡眠パターンを崩れ・気分の低下を感じるようになります。

季節性感情障害の症状

【秋冬のSADの兆候と症状】

秋冬に発症する季節性感情障害(SAD)は「冬期うつ病」と呼ばれることがあります。秋と冬に発症するSADの兆候と症状には、次のようなものが挙げられます。

  • 体重の増加
  • 寝坊する
  • 朝起きづらい
  • たくさん眠るが質がよくない
  • 倦怠感
  • エネルギーの低下
  • 食欲の増加(お米やパンなどの炭水化物を多く含む食品への渇望)
  • 性的欲望の低下
  • 注意力・集中力の低下
  • 毎日落ち込む
  • 背中の痛み・頭痛・筋肉痛
  • 糖分やカフェインを欲しがる

【春夏のSADの兆候と症状】

春夏に発症する季節性感情障害(SAD)は「夏期うつ病」と呼ばれることがあります。春と夏に発症するSADの兆候と症状には、次のようなものが挙げられます。

  • 眠れない
  • 減量
  • 食欲不振
  • エネルギーの低下
  • 不安を感じやすい
  • 性的欲望の低下
  • 注意力・集中力の低下
  • 毎日落ち込む

季節性感情障害になりやすい要因は?

季節性感情障害を引き起こす主な要因は、体質的貧弱性・光の減少・ストレスの3つです。

【体質的貧弱性】

あらゆるタイプの人が季節性感情障害になりやすいですが、男性よりも女性に多く年齢は20代〜40代に多いことがわかっています。また、多くの季節性感情障害患者は、うつ病(ほとんどが季節性感情障害である)を抱える近親者を持っていることがわかっています。

【光の減少】

光が減少すると、季節性感情障害の症状があらわれやすくなります。光が減少する季節ならいつでも起こる可能性があって、夏であっても光が少ない梅雨の時期などに症状を訴える人がいます。冬であっても天気がいい日が続くと、調子が良くなる人もいます。

赤道から遠い地域にくらす人ほど冬期うつ病を引き起こしやすいと言われるのは、光の減少が理由です。

【ストレス】

ストレスを抱えている状態にあると、季節性感情障害の影響を受けやすくなります。すでに抱えているストレスに季節性感情障害が加わることで、症状が重症化しやすくなるのです。心理的な対人関係が、症状を修飾する要素になると考えられています。

コロナのパンデミックが与える影響は?

新型コロナウイルスのパンデミックは、季節性感情障害のリスクを高める可能性があります。

新型コロナウイルスの流行により、屋外に頻繁に出ることができず日光を十分に浴びることができません。自宅にこもることが増えることで人と接する機会が減り、ストレスを感じます。孤独や疎外感を感じることが多くなり、季節性感情障害を訴える患者の数が増加することが考えられます

パンデミックの影響で「コロナうつ」「コロナ疲れ」などのストレスを抱える人が増えており、その状態に季節性感情障害が重なることで、症状がさらに悪化することも考えられます。

コロナ禍の季節性感情障害の対策法・治療法8つ

原因がわかったところで、季節性感情障害になるのを防ぐ方法と治療法をご紹介します。

1. カウンセリング

「季節性感情障害かな?」と思ったら、まずは自分の状態を知ることから始めましょう。自分の状態を詳しく知るには、カウンセリングを受けることをおすすめします。

会話療法(トークセラピー)は、季節性感情障害を治療するための手法の1つです。専門のカウンセラーと、あなたが抱えている心配事や問題について話すことで、気分を下げている可能性のある否定的な考えや行動を特定します。特定したあとは、ストレスを回避する方法を身につけていきます。

新型コロナウイルスの影響で、カウンセリングに通うことが難しい今、オンラインカウンセリング(またはウェブカウンセリング)を考慮に入れてみてはいかがでしょうか

24時間どこでもカウンセリングを受けられるサービスを展開しているところや無料でサービスをおこなっているオンラインカウンセリングなど、たくさんの種類があります。インターネットを利用して調べたり詳しい人に聞くなどしたりして、自分の性格に合ったカウンセリングを探してみてくださいね。

自分の症状ついて家族や親友に話すことでも、季節性感情障害によるストレスを回避することができます。周りの人に話すことで理解してもらえて、サポートを受けることが可能になります。1人で抱え込むのではなく、信頼している人に相談することで、新しい解決法や予防策などに出会える確率も高まります

季節性感情障害は1人で悩まずに、カウンセラー、家族、友人と一緒に向き合っていきましょう。

2. 日光を浴びる

できるだけ多くの自然光を浴びるようにしましょう。光を浴びることで、メラトニン(眠くなるホルモン)の生成を減らし、セロトニン(気分に影響を与えるホルモン)の生成を増加させることができます。さらに神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの分泌に携わっている「ビタミンD」を摂取することができます 

日光を浴びるためにできる工夫は以下のとおりです。

  • 自宅のベランダで読書をする
  • 短い昼食後の散歩
  • 職場・家庭の環境を日光が当たりやすくなるよう変える
  • できるだけ窓の近くに座る
  • 屋外や日光の下で定期的に運動する 

3. 高照度光療法(ライトセラピー)

高照度光療法(またはライトセラピー)は、最前線の冬期うつ病治療法です。高照度光療法は、日の光を浴びることが少なくなった秋と冬に人工の光に置き換えて光を浴びるというものです

高照度光療法では、毎日約30分間「ライトボックス」と呼ばれる人工的な光をはっする機器のまえに座る必要があります。通常、数日〜数週間ほどで効果があらわれ、副作用もなくほとんどの人に効果があることがわかっています

ライトボックスで光を浴びながら食事をしたり、テレビをみたりするなど、生活の中に取り込みながら光を浴びる習慣を身につけていきましょう。

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ライトボックスを購入する前は、医師に相談をして適切なものを手にいれましょう。安全で高品質のライトボックスの基準は、有害な紫外線を放つことなく10,000ルクスの光を放つものです(通常の屋内の照明の20倍以上)。

とくに目や皮膚が明るい光の影響を受ける場合には、ライトボックスを使用する前に必ず医師に相談しましょう。

4. 心身のつながり

心身のつながりを感じることは、季節性感情障害を克服する1歩につながります。ヨガ、太極拳、メディテーション、音楽、アート制作を通して、心身のつながりを感じることができます

書くことを通して、心身のつながりを感じることもできます。「なぜ体が軽いのか」「なぜベットから起き上がる力がないのか」といった体の変化は、抱えている感情が影響しているのがほとんどです。

あなたの感情を書き留めることで、「今こういう感情があるから体が反応しているのか」と頭を整理しながら認識することができます。認識できれば解決策も同時に思いつきます。

5. 体を動かす

体を動かすことで、季節性感情障害の症状を緩和させることができます。

運動することで、β-エンドルフィンの放出が期待でき、幸せな気持ちを得ることができるようになります。運動を継続しておこなってドーパミンの分泌が盛んになることで、やる気・ハッピーな気持ちも高まります。さらに、セロトニンが分泌されることで心身が安定し、ストレス解消につながります。運動は体の健康にもよいですが、心の健康にもプラスの効果を与えるのです。

季節性感情障害が続くと、頭のなかでたくさんのことを考えてしまい心がモヤモヤし続けます。思い悩むのが続くことで自信の喪失につながってしまいます。考えすぎをやめるためにも、体を動かして、意識を「いま、この瞬間」に持っていくことが大切です。 

6. ビタミンDを摂る

ビタミンDはセロトニンやドーパミンの分泌を助け、うつ病の発症に関連する腸内環境を整えたりする働きがあります。そのほかにも、免疫力アップ、がん予防、認知症予防など健康への効果も期待できます。

季節性感情障害は血中のビタミンDのレベルが低いことがわかっています。いくつかの研究ではビタミンDを摂取することで、季節性感情障害のレベルが低くなることが指摘されています。

ビタミンDは食べ物から得ることもできますが、皮膚が紫外線にあたることでも産生されます。日照時間が短くなる時期は、皮膚で作られるビタミンDの量が減少します。そのため、秋と冬場は食べ物を通してビタミンDを摂取するのをおすすめします。

ある研究では「ビタミンDを補給することは季節性感情障害に効果がない」と指摘しています。エビデンスが低いという事実も覚えておきましょう。 

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7. 同じ時間に寝る

毎日同じ時間に眠ることで、質のよい睡眠を取ることができ、季節性感情障害を緩和するのに役立ちます。

季節性感情障害を抱えている人は、眠れなかったり、眠りすぎてしまうことがあります。同じ時間に起床・就寝を心がけると、コルチゾールの分泌量が整い、目覚めがスッキリします。同様に、夜中に目覚めてしまうことも減ります。

8. 社会とつながる

秋冬・春夏どちらの季節性感情障害の症状にも、やる気の低下が挙げられます。孤独や疎外感を感じることが多くなり、季節性感情障害が悪化しやすいという傾向もあります。

人と繋がることで、モチベーションが上がったり孤独感が減るのならば、積極的に社会や人とのつながりを持つようにしてみましょう

とはいえ、新型コロナウイルスが流行している今、イベントに参加して人と出会ったり仲のいい友だちと頻繁に出かけることは難しいですよね。そんなときは、オンラインイベントを活用しましょう!

オンラインイベントを検索するのにおすすめのアプリが「Peatix(ピーティックス)」です。

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新型コロナウイルスが流行する前は、遠くて出席できなかったイベントでも、現在はオンラインで受けることが可能になっています。ぜひオンラインを利用してイベントに参加し、社会や人との交流を持ってみてはいかがでしょうか。

パンデミックの今だからこそ気をつけたい「季節性感情障害」

毎年多くの人が悩んでいる季節性感情障害ですが、今年は新型コロナウイルスのパンデミックが、さらにストレスを加える危険性があります。だからこそ、身体の変化に敏感になって対策を講じていきましょう。

Z世代、ハワイアンダンス、ヨガ、国際コミュニケーション学部専攻(卒)元オーストラリア留学生。「誰もが生きやすい世界」をコンセプトに世界各地のカルチャー、社会問題×ライフスタイル、メンタルヘルス×ヨガなどを中心にお届けします!
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