「猿手」を理解してヨガのポーズを正しく取ろう!猿腕の人は注意が必要なポーズ4選

本来であれば体を整える技法であるヨガですが、ポーズによっては負担がかかってしまう場合があります。正確なアライメントと筋骨格の仕組みを理解することで、負担を減らして怪我を予防することができます。今回は特に女性に多いと言われている「猿腕」にフォーカスしてご紹介します。

ヨガのポーズで体を痛めてしまうのはなぜ? 

ヨガを始めたばかりの頃は、一つのポーズを安定して取れるようになることに必死になってしまいがちです。正しい手や足の位置にまで気を配る余裕はなかなかありません。特に参加人数の多いクラスは、ヨガインストラクターが一人一人にアジャストメントやアドバイスがしにくいという状況もあります。ポーズを安定させる、楽な位置に体を維持しようとするために、逆に誤ったアライメントを取ってしまう場合があります。
ヨガを始めて、腰や肩を痛めてしまうということはあってはいけないことですが、よく聞く話です。関節の可動域といった筋骨格についての理解がないままに、無理なポーズを取って筋を痛めてしまうこともあります。
怪我をしやすいのは、中級・上級者向けのポーズだけではありません。初級の簡単なものや繰り返し行なうポーズこそ、正確なアライメントを理解しておかなければなりません。

ヨガの基本は「安定して、快適な姿勢を取ること」

ヨガのポーズを取る時は、体に過剰な負担を掛けないということを忘れてはいけません。

ヨーガスートラ 2-46

スティラ スカン アーサナン

安定して、快適な姿勢がアーサナです。

ヨガのアーサナ(ポーズ)の基本は、安定して静止することができる、無理なく止まっていられることです。しかし、安定させるために、逆に過剰な負荷がかかってしまえばそれが怪我につながります。

人それぞれ骨格や筋肉の付き方、可動域は異なります。そのことを十分に理解した上で、インストラクターのアジャストメントやアドバイスを受けながら、安定したポーズを取れるように練習を行ないましょう。ポーズを静止することができるということは、体のバランスが取れているので怪我をしにくいということにもなります。

ヨガ初心者は手首を痛めやすい?

私自身、アシュタンガヨガを始めて間もないのですが、手首を痛めてしまいました。まだ初心者なので、アームバランスなど上級者向けのポーズは経験がありませんが、ペッドボトルの蓋を開けることが困難なくらい、手に力が入らなくなってしまいました。

アシュタンガヨガでは、何度もダウンドッグ(下向きの犬のポーズ)を行なうのですが、形や動きの流れを覚えることに必死で体重がかかっている部位の意識など特にしていませんでした。自分の体の癖や筋骨格の状態を理解せずに、形や動きを先行したことで、気付かないうちに自己流の間違ったポーズを取っていたことが原因で、手首を痛めてしまったのです。

痛みや違和感を感じるようであれば、クラスの流れを止めてしまう、他の人に迷惑をかけてしまうなどといったことは気にせずに、インストラクターに声をかけるようにしましょう。

女性は男性よりも「猿腕」の割合が多い?

私はマットに四つ這いになると、左肘の裏側が若干正面に向いてしまいます。この状態が楽なのですが、腕に力が入りにくく、その分手首に負担がかかってしまい、痛みの原因となっていました。あるとき、その様子を見たクラスのインストラクターから「猿腕かもしれませんね、肘を少し曲げるように意識してください」とアドバイスを受けました。

このように、四つ這いになったときに、肘の裏側が正面に向いてしまうような肘の関節が過伸展することが「猿腕」です。特に女性は男性よりも関節が柔らかい、筋肉量が少ないために「猿腕」の傾向があるといわれています。

腕が反っているかチェックしてみよう!

1. 手のひらを上に向けた状態で、腕を前に伸ばします。

2. そのままの状態で、両手の小指と小指の側面を合わせます。

3. このときに肘の関節から下がピッタリくっついたら「猿腕」です。

猿腕の人は注意が必要なポーズ4選

猿腕の人は腕に力が入りにくいため、手首に負担がかかりやすいです。手に体重がかかるポーズを行なうときは、なるべく腕を張らずに、少し肘を緩めるように意識をします。また、肘の裏側が正面に向いてしまいがちなので、両肘の裏側同士が内側を向くようにします。手首に体重がかからないようにするために、人差し指の付け根の部分に体重を乗せる意識でポーズを取るのもよいでしょう。

1. ファラカーサナ(板のポーズ) 

難易度:★☆☆
Point
・肘をピンと張らず、少し肘を緩める
・両肘の裏側がお互い向き合うように意識する

2. アド・ムカ・シュヴァーナ・アーサナ(下向きの犬のポーズ)

難易度:★☆☆
【Point】
・両肘の裏側がお互い向き合うように意識する
・手首に重心がかからないように注意する

3. バシシュタ・アーサナ(賢者のポーズ) 

難易度:★★☆
【Point】
・肩の真下に手首がくるように手を置く位置に注意する
・腕だけで体を支えようとしない

4. バカ・アーサナ(鶴のポーズ)

難易度:★★★
【Point】
・肘をピンと張らず、少し肘を緩める
・腕とひざを押し合ってバランスを取るようにする

正確なアライメントと筋骨格の仕組みを理解して、怪我のないヨガを目指そう!

ヨガはある程度シークエンスを覚えたら、自己練習ができるメリットがあります。しかし、クラスレッスンを受けていても、慣れてくるとだんだん自己流になってきてしまうことは避けられません。

人の体は皆、全く同じということはありません。ポーズの得意・不得意もそれぞれでしょう。SNSや雑誌で目にする難易度の高いポーズに憧れることは決して悪いことではありません。

ヨガは繰り返し練習することで、筋力がつき、体のバランスも整ってきます。その前に自分の体を理解し、怪我をしたり、痛めたりしないように回避することが大切です。体を整えるためのヨーガで怪我をしないように、自分の骨格や癖を理解し、信頼あるインストラクターの指導の上で行なうようにしましょう。

フリープランナー兼エディター。
2020年3月にインド政府公認校認定ヨガ指導者養成講座ヨガ哲学コース修了。ヨガ哲学に魅せられて、日々カルマヨガに専念しています。
「ヨーガ・スートラ」や「バガヴァッド・ギーター」を参考に、哲学や瞑想の視点から毎日の生活が楽しくなるヒントを伝えていきます。
マイブームはスパイスカレー作りとジャパ瞑想。
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