デジタル時代が生産性や集中力を奪う?「デジタル・ミニマリズム」でオンラインライフをシンプルに!

デジタル化に伴って、集中力がなくなり作業の生産性が落ちたと感じる人や、精神的な疲れを感じやすくなったという人が増えています。「デジタル・ミニマリズム」のアイデア4つを習得して、自分が重きを置いている事柄に集中しましょう。

デジタル化による影響の実態

私たちにとって今やインターネットは、情報を集める場というだけではなく、意見や個性を発信する場であり、生活の場となっています。スマホの平均利用時間は1日約3時間という結果が、私たちの生活にスマホがどれほどの影響を与えているのかを伝えています。

インターネットの広がりによって、リアルタイムに公開されている情報を手にすることができることや、国を超えて人々とコミュニケーションを取れるようになりました。しかし、このデジタルネットワークの広がりが与えるのは、プラスの影響ばかりではありません。デジタル化が進むとともに、生活の質や充実感の低下を感じている人が増加しているのが現実です。集中力がなくなり作業の生産性が落ちたと感じる人や、精神的な疲れを感じやすくなったという人までさまざまいます。

以下では、デジタル化によって人々はどのような問題を抱えるようになったのかを詳しく見ていくことにしましょう。

孤独を感じやすくなる

いくつかの研究では、ソーシャルメディアに時間を多く使う人は、ソーシャルメディアをあまり使わない人よりも孤独感が高い傾向にあることがわかっています。

理由としては、幸福度を大いに向上させるオフラインでのコミュニケーション時間が減るためだとされています。ソーシャルメディアでの特定の活動が幸福度を下げているというわけではなく、現実世界での人との交流時間が減るために、孤独感が強まるということを示しています。

友人がFacebookやInstagramにコメントや「いいね」をつけると、喜びがもたらされたり幸福度が向上したりするかもしれません。しかし、同じ友人と現実の世界で一緒に過ごすことのほうがプラスの影響の与えるのです。

睡眠障害の原因

スマホなどの電子機器を眠る前に使用することで、睡眠障害に陥る危険性が高まります。

健康に重要なのは、睡眠時間ではなく質です。「1日7時間は寝ているから、しっかりと休息をとれている」と考えるかもしれませんが、眠る前にスマホを使用することで睡眠の質は低下します。

ニューヨーク州にあるレンセラー工科大学のチームは、スマホの画面から出る光が、夜間に出るメラトニンの量を抑制することを明らかにしています。質のよい睡眠に大切なのは、このメラトニンと呼ばれる睡眠を促すホルモンの働きです。眠る前にスマホを使うことで、体内時計が崩れ、睡眠サイクルも同時に崩れていってしまうのです。これが続くと、睡眠障害に陥ることが考えられます。

幸福度・コミュニケーション能力が低下する

私たちは、現実世界で相手と顔を合わせて交流をすることで、持っている性能を発揮することができます。他者ときちんと向き合ってコミュニケーションをとるということは、聞く力や共感する力を養うことに加え、話を聞いてもらう嬉しさや共感してもらえる喜びを感じることでもあります。これが、幸福度を得るには重要なのです。

しかし、人々がソーシャルメディアに時間を多く使うようになってからというもの、他者と向き合って会話をすることが少なくなっています。会話から得られる幸福度レベルが下がるだけではありません。現実世界で他者との会話をする機会が減ると、相手の表情を読み取る訓練をしてこなかったばかりに、共感力が低下することや、聞く力が劣ったりするなどのコミュニケーション能力の低下にもつながるのです。

やらなくてはいけないことも後回し

「調べものをしていたはずなのに、気づいたら関係のないサイトを見ていた」といった経験をしたことがあるのではないでしょうか。スマホを使ったばかりに、やらなければならないことを後回しにする、もしくは大切なことに使う時間が減ったということになっていませんか。

インターネットは、依存を促すように設計されているといっても過言ではありません。コメントや「いいね」がつくと、脳内には神経伝達物質ドーパミンが分泌されます。このドーパミンの分泌によって、FacebookやInstagramをチェックせずにはいられなくなるのです。「承認欲求」も依存を促す要因のひとつです。認めてもらうことで嬉しくなり、認めてもらうために時間を使うとことが起こっているのです。

話を戻すと、私たちはインターネットの世界に入ることで次第に、その影響力に支配され、時間の使い方や感情を自分で決めるのではなく、デバイスやサービスにコントロールされるようになってしまっています。

さまざまな情報があふれる中で充実した意義のある生活を過ごすためには、どのツールを利用して、どのようにして使うべきなのかを把握しなくてはいけないのです。周囲にあふれすぎているテクノロジーとともに「上手に」生活をしていくための答えとなるのが、デジタル・ミニマリズムです。

ミニマリズムとは

最近聞くことの多い「ミニマリズム」というワード。ミニマリズムとは、本質に迫って大切なことだけに集中をすること。もっと詳しく説明すると、自分が大切にするものを見極めて、それ以外のものは手放すということを示します

自分が何をしたいのか、何を所有するかを選択し、それが自分の人生や考え方にどのように影響するかを意識する。つまりは、本質を見極めて「選択をする」ということを意味します。

ミニマリズムの考えは、決して新しい発想ではありません。

Simplicity is the ultimate sophistication.【シンプルさは究極の洗練である】


偉人レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉にこういったものがあります。このように、ミニマリズムな考えは古くから存在していたのです。

デジタル・ミニマリズムとは

デジタル・ミニマリズムは、ミニマリズムの一部で、「テクノロジーを利用するときは、本質を見極めた上で取り組む」ということです。

書籍「デジタル・ミニマリスト」の著者であるカール・ニューポートのデジタルミニマリズムの定義は次のとおりです。

自分が重きを置いていることがらにプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、ほかのものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学


特定のテクノロジー(メール、ソーシャルメディア、インターネット、電話)があなたの人生に価値をもたらしているのか、それとも価値を下げているのかを疑問視し、価値のないと判断したものは排除していく行為をデジタル・ミニマリズムと表現します。

以下に、デジタル・ミニマリズムのやり方を紹介します。オンラインライフがシンプルになり、テクノロジーとのより健康的な関係を構築し始めることができるでしょう。

デジタル・ミニマリズムのやり方

パソコンを意図的に使用する

まずは、簡単なものから始めましょう。ここでのゴールは、価値のないものをすべて削除し、定期的に使用するものを普段より2倍使うことです。

1. デスクトップをスッキリさせる
デスクトップからすべてのファイルとプログラムを削除しましょう。代わりに、キーワードを入力するとiPhone内のアプリやウェブサイトを調べられる「Spotlight」を使用して開くようにします。

2. きれいな壁紙を選択する
些細なことのように思えるかもしれませんが、壁紙は生産性に影響を与える可能性があります。 気をそらさずに集中するのに役立つ写真を選びます。

3. Dockを非表示にする
ショートカットキーでDockを表示/非表示にする設定をおこないます。(もしくは、システム環境設定→キーボード→ショートカット→ Launchpad と Dock→ Dock を自動的に隠す機能の入/切)

4. プログラムのアンインストール
アプリを調べ、使用していないものをすべて削除します。

スマートフォンを意図的に使用する

スマートフォンに生活をコントロールされないように、意図的にスマートフォンを使用しましょう。

1. アプリの削除
パソコンと同様に、使用しないアプリをすべて削除することから始めましょう。たまに使用するアプリの場合は、ブラウザーバージョンを利用するのがおすすめです。

2. ソーシャルメディアの削除
ソーシャルメディアは必ずしも悪いものではありませんが、使用時間がかなり大きくなると、間違いなく悪い習慣と呼べるものになってしまいます。

3. 連絡先の削除
連絡先リストを開いて、必要のない番号を削除します。 

4. 通知を削除
電話やテキストメッセージの通知情報はオンにしたままでもOKですが、その他の通知はすべて削除します。通知を確認したいときは、アプリを開いて確認するようにしましょう。

5. サイレントモードをオンにする
午後8時から午前8時の間はスマホに邪魔されずリラックスできるよう、サイレントモードをオンにします(リラックスしたい時間を自分で調節しましょう)。

メール地獄を回避する

私たちは、1日に平均45回もメールを確認していると言われています。1日中メールをチェックするようでは、やるべきことに集中できないです。メールに時間を取られるのを防ぐためには、あらかじめ決めた時間にだけ確認をし、あとは気にしないこと。詳しくコツを見ていきましょう。

1. 通知をオフにする
通知をオフにすることで、決められた時間のみにメールをチェックすることができるようになります。

2. メールをチェックする回数と時間を決める
できるだけ最小限のチェック回数に抑える努力をしましょう。メールを確認する回数を決めた後は、自分の生活にあったチェック時間を設けましょう。 1日に2回メールをチェックすると決めた人であれば、午前と午後に確認する時間をわけるのがベストです。

3. メールに使う時間を制限する
1回のメールに取り組む時間は、約25分程度がおすすめです。25分もあれば電子メールを処理するには十分でしょう。

4. 入ってくるメールを減らす
必要のないニュースレターやスパムメールなどが入ってこないように設定しましょう。スパム・フィルタを利用することや配信停止作業をおこなって、受けとるメールを減らします。

5. 送信するメールを減らす
すべてのメールに返信が必要なわけではありません。重要なものだけを選んで返信するようにしましょう。

6. 簡潔にメールを書く
送信するときも効率化をはかります。時間をかけずに、簡潔かつわかりやすく力強いメールを書くようにしましょう。1番伝えたい内容をはじめに書いて、2行目で理由を説明し、最後に再び伝えたい内容を書いて締めるのが伝わりやすいメールです。10文以上書かないように工夫してみましょう。

インターネットをシンプルに

インターネットは素晴らしいものですが、賢く使わないと、重要な事柄への集中力を失う最大の敵となります。インターネットでデジタルミニマリズムを実現する方法は次のとおりです。

1. 使用時間を確認する
インターネットの使用時間を特定してくれるアプリを使用して、どこで時間を浪費しているかを知ることが最初のステップです。

2. フォローをやめる/ミュートする
インターネットを使う目的に適さないアカウントや、興味がなくなったアカウントはフォローを外すかミュートをするようにしましょう。私たちの人生に価値を与えてくれるアカウントのみに時間を使うようにしましょう。

3. ソーシャルメディアを削除する
インターネットを使用する理由は何なのかを考え、現実世界で済ませることのできるものや目的に合わないものは削除するようにしましょう。

4. 「いいね」をしない!
「いいね」ボタンを押すことで、あなたの脳は「いいね」が会話に代わる適切な選択肢であると認識する可能性があります。低価値なやりとりが生活の中で大きくなっていき、対話をすることが少なくなっていくことが考えられます。

できるだけ「いいね」ボタンは押さずに、現実世界で相手の家を訪ねたり、直接感謝の言葉を伝えることで幸福度が向上します。

ソーシャルメディアを交流の手段に使うのをやめることで、ソーシャルメディア上のみで繋がっていた相手とは関わりが少なくなるでしょう。それでも大丈夫です。弱いつながりよりも、強いつながりを求める場合は、去るものを追わないのが1番です。

人は、多くの人と連絡を取り合ったり深い関わりを持ったりするようにはできていません。豊かな人生を求める人は「量より質」を重視してみるのをおすすめします。

デジタル・ミニマリズムを身につけて大切なことに集中しよう

デジタル・ミニマリズムはプロセスが大事になってきます。デジタルライフを削除した後でも、再び電子機器をアプリやメールであふれさせるのは簡単です。今回ご紹介したデジタル・ミニマリズム4つのアイデアを習慣にすることが大切なのです。ぜひ、デジタル・ミニマリズムを実践して、現実世界での活動や集中すべきことに時間を使ってくださいね!

Z世代、ハワイアンダンス、ヨガ、国際コミュニケーション学部専攻(卒)元オーストラリア留学生。「誰もが生きやすい世界」をコンセプトに世界各地のカルチャー、社会問題×ライフスタイル、メンタルヘルス×ヨガなどを中心にお届けします!
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