日本人は世界で最も座る時間が長い!座りすぎが寿命を縮める原因とヨガの効果

座りすぎが寿命を縮めることが研究で明らかになっています。座りがちな習慣から引き起こされる病である、ストレートネックやエコノミークラス症候群、うつ病などに陥るのを防ぐために、健康を重視した食事とヨガポーズを習慣に取り入れていきましょう。

シドニー大学がおこなった研究によると、世界20カ国と比べたときに、日本は座る時間が1番長いという結果になりました。これは、20カ国の平均と比べて2時間も多いそうです。座りすぎにはどういった問題が隠されているのでしょうか。

【研究結果あり】座りすぎが寿命を縮める

シドニー大学の研究によると、座っている時間が1日11時間以上を超えると、死亡率が4時間未満に比べて40パーセントも上昇するとのこと。この死亡率は喫煙以上にもなるためおどろきです。この研究では、座っている時間がわずかに違うだけで、すぐに影響がでることが示唆されています。

座りがちな生活が死亡率に関わってくるのには、しっかりとした関連性があります。座りすぎな生活は、糖尿病、肥満、高血圧、脳卒中、乳がん、前立腺がん、脳卒中などといったさまざまな病気のリスクを上げる要因となり、これらの病気を発症することが死亡率につながっているのです。

座りすぎが高める病気のリスクと対策

座りすぎからくる体の不調を改善させることは、大きな病気の予防につながります。体の不調に気づき、不調を解消するヨガや食事法を試して、健康な体を目指しましょう。

1. 頭痛やめまいなどの症状を起こす【ストレートネック】

スマートフォンの使用や、パソコンを使用したデスクワークにより同じ姿勢を長時間つづけることで、首から肩周辺の筋肉が凝り固って、正常な首の骨のまがりを妨げてしまいます。この正常ではない首の骨の状態をストレートネックと呼びます。

ストレートネックとは、本来「く」の字に前弯(ぜんわん)している正常な首の骨に対し、首の骨がまっすぐになっている状態を指します。

https://www.japa.org/

 【写真】左:ストレートネック     右:健康な首の骨

ストレートネックになってしまうと、頭痛、目まい、肩こり、吐き気といったさまざまな症状が起こります。さらに悪化すると、頸椎ヘルニアやうつ病の発症率が高まることも考えられます。

その症状、ストレートネック?自己チェックリスト

  • 猫背
  • 1日3時間以上デスクワークをしている
  • 普段からパソコンを使用している
  • 首をうしろに倒して上を向くと、違和感や痛みを感じる
  • 首こりや肩こりがある
  • 首を前後左右に動かすと、以前よりも動かせる範囲が狭まったと感じる
  • かべに肩・お尻・かかとをつけたとき、後頭部がかべにつかない

この中のうち4つ以上該当する場合は要注意です。

ストレートネックの予防・改善

正しい姿勢をキープ

デスクに座ってパソコンを使用するときに、正しい姿勢を心がけてあげるだけで、ストレートネックの予防や悪化を防ぐことができます。気をつけるべき点は6つあります。

  1. 目とモニターの高さは水平視線よりもやや下に合わせる
  2. 目とモニターの距離は40cmが理想
  3. ひじの90度に曲げて作業する
  4. 肩と骨盤が一直線になる姿勢を保つ
  5. 腕を机や椅子のひじで支える
  6. 足裏全体を床につける

https://medical.jiji.com/

 ストレートネック改善ヨガ

デスクワークをしているときに正しい姿勢を心がけるのも大切ですが、ヨガでストレートネックを予防・改善することもできます。

 ①猫のポーズ

ヨガのウォーミングアップとしてもおこなわれる猫のポーズは、肩こりをほぐす効果や、腹筋や背筋を鍛える効果が期待できます。寝起きにおこなうと、気持ちよく目覚めることができるためおすすめです。

【手順】

  1. 手と両ひざを床につけて四つん這いになる
  2. 両手・両足を肩幅に広げる
  3. 息をはきながら背中をまるくして、おなかをのぞき込む
  4. この姿勢で30秒キープ
  5. 息をすいながら、状態をそらせる
  6. 上をみながら深呼吸する
ポイント:背中をまるくするときは、十分にまるくなっているかを意識してあげましょう。また、四つん這いの姿勢のときに、前に重心がいきすぎないように注意してあげましょう(上体を十分にそることができないため)。

猫のポーズの詳細

②橋のポーズ

橋のポーズは、肩こりを緩和させるほか、下半身強化、バストアップなども期待できます。背中から足にかけて鍛えられるポーズです。

【手順】

  1. あお向けに寝て、両ひざを立てる
  2. 足は肩幅くらいに開く
  3. 息をすいながら、腰をゆっくりと持ち上げる
  4. お尻の下で握りこぶしを作る
ポイント:腰を持ち上げるときは、お尻を引き締めながらおなかをできるだけ高く持ち上げましょう。

橋のポーズの詳細

③ウサギのポーズ

首筋から肩をほぐす効果のあるウサギのポーズ。頭の血流をよくするため、集中力がアップすることや目の疲れを解消する効果も期待できます。デスクワークが多い方におすすめのポーズ!

【手順】

  1. 正座の姿勢で頭頂部を床につける
  2. 後ろで握りこぶしをつくる
  3. 息をはきながらお尻をゆっくりと持ち上げる
  4. 状態を前に倒し、軽くあごを引く
  5. 手を天井へ引き上げる
ポイント:ポーズの間に顔を前後左右に動かすのではなく、しっかりと固定するのを意識しましょう。顔が動いてしまうと、首に負担がかかってしまい、痛みを生じるおそれが考えられるためです。

ウサギのポーズの詳細

ストレートネックを解消する枕

ストレートネックは、高すぎる枕を使用することも原因の1つだと考えられています。ストレートネック対策の枕を使用して、首を自然なカーブに補正することができます。

MOFIR ストレートネック矯正枕

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この枕は、1番心地よい位置にあわせて頭が枕にしずむようになっています。肩や首の筋肉に負担をかけないため、自然な首のカーブを保つことができます。仰向けや横向きといったどんな姿勢で寝ても体に負担がかからない構造になっていることから、寝る姿勢にこだわりがあっても安心です。

価格:9,999円(税込)

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2. 呼吸困難や血液循環に支障をきたす【エコノミークラス症候群】

エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢でいることによって血の流れが悪くなり、血管の中に血のかたまりがつくられる深部静脈血管症のことです。血のかたまりが肺の血管につまってしまうと、呼吸困難や血管循環に支障をきたします。さらに、最悪の場合には死に至ることもあるのです。

「エコノミークラス」と名付けられていますが、飛行機での長時間移動のときのみに起こるというわけではありません。1日に6時間以上のデスクワークをおこなう人も、同じようにエコノミークラス症候群のリスクが高まります。

エコノミークラス症候群に陥らないための予防策は、適度に足や体を動かして血の流れをよくすることです。

血流をよくするヨガ

①サギ(鷺)のポーズ

サギのポーズは、内臓の働きや血の流れを活発化させ、足のむくみをとる効果があります。生理中に足がむくむ方におすすめのポーズです。

【手順】

  1. 両足を前に伸ばして座り、手を横に置く
  2. 左ひざを外側に折り曲げる
  3. 右足を床から離して上に向かってあげる
  4. 両手で右足をつかみ、ゆっくりと足を伸ばして上に引きあげていく
ポイント:つま先に両手が届かない場合は、ベルトを使ってしっかりと補助して足を上に引き上げていきましょう。

サギのポーズの詳細

②合せきのポーズ

ハムストリングスと腸腰筋が鍛えられるだけでなく、血行を促進することから便秘解消効果も期待できるポーズです。

【手順】

  1. 座り姿勢でひざを広げて、足の裏をあわせる
  2. 両手をひざの上に乗せて一呼吸する
  3. 息をはきながら、ひざを床に近づけていく
  4. ひざを床につき、両手を前に伸ばして上体を前に倒していく
ポイント:上体を前に倒すときに、背筋がしっかりと伸ばすことを意識してあげましょう。

合せきのポーズの詳細

③支えのある肩立ちのポーズ

支えのある肩立ちのポーズもまた、座りがちな体の血行を促進してくれるポーズです。首から上半身全体が鍛えられるポーズであるため、背中やお腹を引き締めたい方におすすめです。

【手順】

  1. あお向けに寝て両ひざを立てる
  2. 両手で床をおしながら、両ひざを胸に近づける
  3. 息をすいながらゆっくりと床からお尻を離して持ち上げる
  4. 両足を天井にむけて伸ばす
ポイント:ポーズ完成のときに脇がしっかりとしまっているかを確認しましょう。また、太ももからかかとまで、しっかりと直線になるように意識してあげてください。ポーズ中によそ見をすることは首に負担がかかり危険なのでNGです。

血流をよくする食べ物

むくみが起こる原因として、体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れることもあげられます。

ただ単に、塩分を控えた食事を摂ることがよいというわけではありません。おすすめするのは、バランスよくミネラルを含んだ天然塩を使うことや、カリウムが多く含まれるトマト、じゃがいも、ナス、きゅうりなどの野菜や、果物ではバナナやなつみかん、メロンなどの食材を摂ることです。

また、血行を促進するビタミンEを豊富に含むカボチャ、アーモンド、ピーナッツ、ビタミンCを多く含むパプリカ、ブロッコリー、ピーマン、キウイを意識的に摂るようにしましょう。

3. うつ病を発症しやすくなる

多くの研究では、デスクワーカーなどの長時間座りがちな人は、肉体労働でよく体を動かす人に比べて、うつ病を発症しやすいことが明らかとされています。要因としてあげられるのは、体を動かすことが少ないことと猫背

脳に分泌されるノルアドレナリン(やる気スイッチホルモン)やセロトニン(幸せホルモン)の量が少ないと、うつ病のリスクが高まることがわかっています。実際に、うつ病患者はこれらの神経伝達物質の分泌が少ないとのこと。

セロトニンとノルアドレナリンの分泌を増やすための運動としておすすめするのが、セロトニンの増加には呼吸や歩行などのリズム運動ノルアドレナリンの増加にはウエイトトレーニングをすること!

ちなみに、運動をするとすっきりする感覚を得るのは、これら2つの神経伝達物質の分泌が脳内で促進されることが要因でもあります。

うつ病自己診断チェックリスト

  • 集中力が低下した
  • 疲れやすくなった
  • 意欲がわかない
  • 不安感や怒りを持つようになった
  • 頭痛、下痢、腹痛などの症状がある
  • あまり食欲がない
  • 何を食べても美味しいと感じなくなった
  • 眠れない
  • 完璧を求めるほうだ(几帳面、真面目)
  • 趣味に興味を示さなくなった
  • 周囲からはポジティブであると思われている
  • 愚痴をあまり言わない
  • 自分はダメな人間だと責めるようになった

これらの項目のうち、5つ以上該当する場合は注意が必要です。 

ヨガにはうつ病レベルをさげる効果が

うつ病を防ぐにはこまめに体を動かすことが大事です。

多くの研究では、ヨガがうつレベルをさげる効果があることが示されています。たとえば、マサチューセッツ総合病院の研究結果からは、29名が8週間週2回にわたって、ヨガのクラスを受講したところ、うつレベルが大幅に減少していたことがわかっています。

リラックス効果を高めるヨガポーズ

疲労回復やストレス解消に効果的なヨガポーズをご紹介します。眠るまえにおこなうことで、快眠を得る効果も期待できます。

①ガス抜きのポーズ

疲労回復効果があり、メンタル面でのリラックス効果が期待できるガス抜きのポーズ。便秘解消や腰痛を和らげる効果もあり!

【手順】

  1. 一直線になるようにあお向けに寝る
  2. 両ひざを曲げ、ひざを両腕で軽く持ち上げる
  3. 息を吸ってお腹をふくらませ、息をはいて太ももを胸の方に近づける
ポイント:おなかをしっかりと使った呼吸を心がけましょう。両腕の力でひざを引き寄せ、肩の力をできるだけ抜くようにしましょう。

ガス抜きのポーズ

②仰向けの魚の王のポーズ

仰向けの魚の王のポーズも、疲労回復効果・メンタル面でのリラックス効果があります。

【手順】

  1. 一直線になるようにあお向けに寝る
  2. 右のひざを曲げて両手で持ち上げる
  3. 右手を横に伸ばし、息をはきながら右ひざを左側へ倒す
  4. 右ひざを中央へ戻し、息をはきながら逆もおこなう
ポイント:上半身の力はできるだけ抜いて、曲げた足をしっかりと床につけるようにしましょう。

仰向けの魚の王のポーズ詳細

病気予防のために、体を動かす習慣づくりを!

コロナウイルス前は、何かと仕事で動きまわることが多かったものの、パンデミック宣言が表明されてからは自宅で過ごす時間が増え、席を立つ機会が減っているのではないでしょうか。また最近では、デスクワークの多い仕事をする人や、電子機器を1日に2時間以上利用する人も多いです。

座りすぎが原因となる病気を防ぐためには、できるだけ体を動かして、食べ物から栄養をとるように心がけてくださいね。

Z世代、ハワイアンダンス、ヨガ、国際コミュニケーション学部専攻(卒)元オーストラリア留学生。「誰もが生きやすい世界」をコンセプトに世界各地のカルチャー、社会問題×ライフスタイル、メンタルヘルス×ヨガなどを中心にお届けします!
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