「女らしさ」とは?ジェンダー研究の中で気づいた違和感。フェミニストたちの声も紹介。

「あたりまえ」とされていることに対して疑問を持つことは難しいです。ジェンダーも同じで、あらゆる場面で女性と男性が同等の権利を与えられないことが「あたりまえ」になっており、そのことに対して疑問を持つ人は多くはありません。フェミニズムの基本情報をお伝えすることで、日常生活に潜むジェンダーの問題に気付いてもらえると嬉しいです。

ジェンダーとは何だろう?

【写真】ニューヨークのマンハッタンで行われたウィメンズマーチ

「ジェンダー」という言葉が世界的に広まりつつある中で、どんな意味か考えたことがある人もいるでしょう。あるいは少し知っていて、もっと理解を深めたいと思っている人もいるかもしれません。

ジェンダー(gender)とは、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。例えば、男性も平等に家事をする能力があるのにもかかわらず、家事は女性がやるものであるという考えが強いことによって、女性にだけ過剰な負荷を強いる行動が見られる場合があります。「女性はこういうもの」「男性はこうあるべき」といったような、社会によって期待されながら構成されていく性別の特質をジェンダーと呼びます。生まれながらにして持っている生殖機能の違いである、生物学的な性別(sex)とは別に考えられます。

「男性だから・女性だから」という考えがあると、性別に基づいたあるべき姿というものが、所属する社会や文化から自然と構成されていきます。それはファッションや趣味、考え方までにも影響を与えていきます。これがなぜ問題とされるのか、もう少し詳しくみていきましょう。

性別への固定観念(ジェンダー・ステレオタイプ)はなぜ問題?

それではなぜ性別への固定観念(ジェンダー・ステレオタイプ)は問題とされているのでしょうか。簡単にいうと、ジェンダー・ステレオタイプを持つことによって、相手の本来持っている能力または自分の潜在能力を壊してしまう恐れがあるからです。

男女の身体の違いを考えるときに浮かびやすいのが、「男性は女性よりも力がある」という考えです。保育・看護・介護などのケアの仕事は、相手の心に寄り添うことのできる女性が向いているとされます。一方で、漁師・土木作業員・警察官などは重いものを運んだり体力が必要な仕事であるとして、男性が向いているとされる傾向にあります。実際に、女性に向いているとされる仕事に就く女性が多かったり、男性に向いているとされる仕事に就く男性は多いです。しかし、筋力や体力は性別のみで決まるわけではなく、育った環境や体格によっても変わってきます。また、ケア労働も体力が十分に必要な仕事であり、相手の心に寄り添うことが上手な男性もいます。性別だけでは簡単に判断することができないことはこのように沢山あるのです。

しかしながら、性別とは本来関わりのない多くの事柄が性別に基づいて判断されているのが現状です。社会によって構成された性別役割によって、自分のやりたいことができなかったり、実力を出せなかったりすることはすごく残念ではないでしょうか。

ジェンダーステレオタイプの怖いところは、人々がステレオタイプの再生産を行うというところです。もともとあるジェンダー・ステレオタイプが、子どもたちの世代にまで繰り返し広がり、その後も継続されていくということです。

多くの研究では、小学校に入学をする前の子どもや小学生は、男女の間に数学のスキル差はほとんどないにもかかわらず、学年が上がるにつれて男女間で差があらわれ始め、男性の方が数学の成績が高くなることが明かにされています。原因としては「女性は数学が苦手」という、もともとあったステレオタイプが個人の行動を律してしまっていることが挙げられます。

再生産されたステレオタイプにより、女性は数学が苦手なのだからと思い込み、成績向上のために勉強をすることもないということです。

このように、ジェンダー・ステレオタイプがあると、その人が持っている潜在的能力や個性などを潰してしまうことがあります。何かに自分をコントロールされ、自分らしく生きれないと人々は生きづらさを感じます。

「女らしさ」とは何なのだろう?

雑誌やテレビなどでよく見る「女らしさ」ですが、この言葉に疑問を持ったことはないでしょうか。女性にだけ特定のものを過剰に結びつけて、それを女性の評価基準とする行為はたくさんあります。

たとえば、飲みの席などで、女性が気を利かせて食事を取り分ける行為は「気遣い」と呼ぶことができます。しかし、こういった行為は「女らしさ」と結び付けられることが多いです。気遣いは性別に関係なく、全ての人ができることが好ましいのにもかかわらず、食事を取り分ける行為は「女らしさ」と結び付けられて、女性は「女らしいかどうか」で評価されるのです。本来は性別に関係のないことも性別に結びつけることで、性別をベースとした評価基準があることを当然であるとする社会をつくってしまいます。

性格でも「女らしい性格」と題して女性らしさについて語っている光景をよく見ます。マガジンやテレビ等をみると「女性らしい性格」なのは、控えめな態度・感情表現が豊か・癒し系などのようですが、控えめでおっとりしており癒し系で感情表現が豊かな男性もいます。さらに性格は人それぞれ異なるため、偏った性格を強制することは間違っているとも言えます。

女性という属性に恣意的に結びつけられ、望まないのにも関わらず全ての女性に決められた考えを強制することは問題とされています。

「女らしさ」という言葉を使用する際は、その表現以外の言葉はないのかどうかを考えてみてください。メディアなどで推奨する「女らしさ」を素直に受け取ってしまうのではなく、性別に関係のないことを結びつけているパターンではないかと疑ってみることが大切です。

 「女らしさ」を武器とする人はいますが、そのような行為をとらなければ社会に認められない現状が存在することが問題として挙げられています。「女らしさ」を使わないと、うまく社会に馴染むことができずに生きづらさを感じてしまうのです。

日本のジェンダーギャップ指数

毎年世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、各国における男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index: GGI)」を発表しています。この指数は、経済・政治・教育・健康の4つの分野のデータから作成され順位を決めます。

 

https://www.gender.go.jp/index.html

 2020年の日本の順位は、153カ国中121位でした。この指数によると、日本は他国に比べて、あらゆる分野で男女の差が大きいことがわかります。日本はまだまだ女性の社会的地位が低く、男女格差が大きいままなのです。

「女らしさ」を使用しないと、男性と平等な利益を得ることができなかったり、自分の望むものを得ることができなかったりするために女らしさを使用せざるを得ない状況にあるのです。

世界のフェミニストたちの言葉を聞いてみよう!

ジェンダーの基本を少しでも理解すると、様々な生活シーンでジェンダーについて考える時間が増えていくでしょう。そして今までなぜか生きづらさを感じたり、なぜか複雑な気持ちを抱いたことがある人は、その気持ちがジェンダーに関わっていることだと気づくこともできます。ジェンダー問題は日常に溢れているだけではなく、「あたりまえ」の生活の中に存在するため、複雑な気持ちを抱いたとしても原因に気づきにくく、さらには見逃してしまうこともあります。

私たちが「あたりまえ」と考えて見えていないジェンダーの内面に対し、言及を続けているのがフェミニストです。

フェミニストとは、男性と女性は平等に扱われるべきであると考える人たちを指します。歴史上、男性は女性よりも家庭や会社で責任を持ち、多くの選択を任せられていました。女性の選択肢は少なく、権力を与えられることもほとんどありませんでした。フェミニストは、これは間違いであると考えており、女性や男性という理由で異なる扱いを受けるべきではないと考えています。

フェミニストたちの声をご紹介

男性と女性が平等な扱いを受けるために闘うフェミニストですが、フェミニストの間でも意見が異なることがあります。しかし全てのフェミニストの間では「男性や女性という理由だけで異なった扱いを受けるべきではない」という共通の考えがあります。フェミニストであることを公言している人たちの言葉を聞いてみましょう。

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(ナイジェリアの作家) 

https://www.chimamanda.com/

男の子からどう思われるかを気遣いなさい、と女の子に教えることに私たちはあまりに多くの時間を割いています。でも、その逆はありません。男の子には人から好かれる好かれるようにしなさいと教えたりはしないのです。世界中で、あふれんばかりの雑誌や書籍が、女性にああしろこうしろと指図して、男性に魅力的に見えるには、男性を喜ばすには、どうすればいいかを教えてくれます。逆に男性に女性を喜ばせることを教えるガイドブックはごくわずかです。(河出書房新社、2017年)

 

ハリー王子

https://www.royal.uk/The-Duke-of-Sussex

女性がより多くの権利を受けることで、女性の周りの環境や生活、家族や共同体、国が大きく改善されます。これは女性だけの問題ではないのです。私たち男性が果たすべき役割を認識しなくてはなりません。

 

ビー・アップルビー(「The Female Lead」の編集者)

https://www.lsnglobal.com/

テレビや映画をみると、女性や男性と平等ではない世界がありました。女性は弱くて繊細なキャラクターであることが多く、可愛らしく描かれていました。男性と女性が同等の権利を持っていないことが不公平だと思いました。そして今も公平だとは思っていません。それを変えるのが私にとってのフェミニズムです。

 

アドーラ・スヴィタク(ライター・活動家)

https://matrix.berkeley.edu/

今もフェミニズムが必要なのは、女の子たちは男の子たちに比べ、恐れることなく十分に世界を体験することができていないからです。私たちはもっと自分を抑えて、静かに優しくあるように教えられます。子どもの段階で、フェミニズムと関わりを持つことが重要です。なぜなら、子どものときに習得する考え方は人生に大きな影響を与えるからです。フェミニズムについて学ことで人として成長することができます。

 

ベン・ベイリー=スミス(コメディアン・俳優・ラッパー)

https://www.docbrown.co.uk/

全ての人が、性別や家の環境、人種や社会的な地位と関係なく平等に物事を達成できる世界があれば、みんながいい影響を受けると考えます。みんなが自分のやりたいことを達成できると思える場所で暮らすということは、とても幸せな共同体で暮らすということです。僕の娘たちにも常にこういっています。「男よりも優れないと考えるべきじゃない」と。今では、7歳の娘がコミックとスーパーヒーローを愛しています。

自分らしくいきるために一緒に考えていきましょう

このページを読んで、みなさんは「あたりまえ」と考えられてきたことに対して疑問を持ち始めたと思います。昔とはいろいろと異なった動きがみられることにも気づいたことでしょう。そして、フェミニストと公言している人たちは、共通している考えの中にもそれぞれフェミニストとしての強い思いを独自に持っていることにも気づいたと思います。フェミニストは日常生活で感じた違和感を受けて、その改善のために闘おうとする人たちばかりなのです。属性に関係なく、男性も女性も自分らしく生きられる世界を作るためには、私たち1人1人の考え方が重要となってきます。

筆者のフェミニストとしての考えは、属性によって本来の自分を消すことがあってはならないということです。「女の子だからこうなのではないか」「男の子なのだからこうあるべきではないか」などの偏見により、自分の意思に反した行動を取り続けてしまうことはその人の個性を消すことに繋がってしまいます。個性を活かした行動をすることで、自分の持っている最大限のパワーを発揮することができ、自己肯定感を高めてくれると考えます。属性によって自分の好きなことを諦めてしまうことはとても悲しいことです。

もしあなたが、男性と女性の扱われ方を変えることができるのなら何を変えるでしょうか。このページを読んでくださったみなさんに、フェミニズムについて考えるきっかけを与えられていたら嬉しいです。

Z世代、ハワイアンダンス、ヨガ、国際コミュニケーション学部専攻(卒)元オーストラリア留学生。「誰もが生きやすい世界」をコンセプトに世界各地のカルチャー、社会問題×ライフスタイル、メンタルヘルス×ヨガなどを中心にお届けします!
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