ヨガがもっと楽しくなる「マントラ」を知ろう!有名なマントラや歌詞もご紹介

ヨガや瞑想を学ぶ過程で1度は耳にするであろうマントラ。ヨガのクラスなどで聞いたことのある方もいるのではないでしょうか?「呪文っぽいし、なんか苦手…」と取っ付きにくいイメージを持たれがちなマントラですが、知らないなんてもったいない!今日からあなたも実践したくなるマントラのメリットや意味をご紹介します。

マントラってなに?

マントラとは真言・祈り・呪文のことをいいます。ヨガでは神聖な音を意味しており、集中したい時や瞑想の際に手助けとなる神聖な言葉として、広く知られています。

 マントラの語源

マントラはサンスクリット語で、もともと古代インドで賢者や僧侶が使用していた言語です。インドから中国を経由して、空海により日本に伝えられました。「マントラ」とは、2つのサンスクリット語から成り立っており、「マン」は考える、「トラ」は呪縛やネガティブ思考から身を守るという意味で、解放するという意味も持ちます。五感を通して反応する考えの基本となる部分を意味する「manas(マナス)」が語源になっているともいわれており、感情や心をコントロールするツールとして、マントラは古くから詠唱されてきました。

 マントラの言葉の意味

マントラには性質があるものと、性質が無いものが存在します。マントラの多くは神様を賛美する言葉として詠唱されますが、神様によって『知恵や繁栄』、『破壊と慈愛』など象徴する性質が異なります。このような性質を持つ神様を賛美する言葉としてのマントラは、『性質があるマントラ』とされ、「オーム」のように何か象徴する神様を崇めるものではないマントラを『性質を持たないマントラ』とされています。

 どんな時に唱えられるの?

インドでは、僧侶によって、お寺やアシュラムのお寺などで朝・夕にマントラを詠唱する儀式があります。マントラを詠唱することを「マントラ・チャンティング」という。クラスの始めや終わりや、心を鎮めたい時などに詠唱されることが多いです。

 マントラを唱えるメリット

心に働きかけエネルギーを与える

マントラを唱えることで意識が精妙になり、感情や心が解き放たれるといわれています。マントラの持つバイブレーションが、生命が元々持っている根源的な振動と共鳴し合い、心にエネルギーを与えるそうです。

集中力を高める

マントラは瞑想の中でより集中するために使用されることも多いのですが、深く息を吸い、穏やかにマントラを唱えると、自然とその音に意識も集中しますよね。マントラを唱えながら、自分の発する音に耳を傾けたり呼吸を整えたりしているうちに、自然と集中力も高まります。気持ちを鎮めたい時にもおすすめです。

詠唱するマントラによって得られる効果が異なる

讃える神様ごとに象徴する性質が異なるマントラは、その効果も異なります。「良縁や夫婦円満を願う時に唱えるマントラ」や「金運や出世運を向上させたい時に唱えるマントラ」など目的や効果も様々です。中には、「すべての願いを叶える最強のマントラ」と呼ばれるものも。目的に合わせて唱えると良いでしょう。

基本のマントラ「オーム」を知る

ヨガレッスンの前後に唱える「オーム」。「OM」や「AUM」とも記されますが、このオームは短いながら、数あるマントラの中でも最も崇高なマントラといわれています。

オームの音

「a」「u」「m」の3つの音「ア」「ウ」「ン」から成り立っています。日本でも「阿吽(あうん)の呼吸」ということわざが存在しますが、この『阿吽(あうん)』、実はサンスクリット語が語源。「阿(あ)」は最初の音、「吽(うん)」は最後の音という意味を持っており、日本では「阿(あ)」が吐く息、「吽(うん)」が吸う息という意味で使用されています。

オームの意味

「ア」が覚醒している状態、「ウ」が夢を見ている状態、「ン」が熟睡している状態を意味しています。時間の段階を意味しているともいわれ、「ア」が誕生、「ン」が破壊、その間にある「ウ」が維持とされています。または、過去・現在・未来を表現しているともいわれています。

マントラの種類について

マントラの数は無数に存在し、そのマントラの持つ意味や効果も様々。中でも有名なマントラをいくつかご紹介します。

知ってると嬉しい!有名なマントラと歌詞を紹介

・ガヤトリ―マントラ(最強のマントラ)

宇宙に調和をもたらすといわれるほどの威力を持つマントラとされています。特に「知性の成長」には、とても顕著に効果を発揮するそうです。

【歌詞】
Om(オーム)
Bhur Bhuvah Svaha(ブール・ブヴァッ・スワハ)
Tat Savitur Varenyam(タット・サヴィトゥル・ワレエニャム)
Bhargo Devasya Dhimahi(バルゴー・デーヴァスャ・ディーマヒ)
Dhiyo yonah Prachodayat(ディヨー・ヨーナッ・プラチョーダヤート)

・シャンティマントラ(癒しのマントラ)

思考のブロックを解除し、精神的な安定へと導いてくれる癒しのマントラ。唱えることで、癒しを極め、物事を良い方向へと好転させる恩恵を受けられるといわれています。

【歌詞】
Om Saha Navavatu(オーム・サハ・ナーヴァヴァトゥ)
Saha Nau Bhunaktu(サハ・ナゥ・ブナクトゥ)
Saha Viryam Karavavahai(サハ・ヴィールャム・カラヴァーヴァハイ)
Tejasvinavadhitamastu(テージャスウィナーヴァディータマストゥ)
Ma Vidvishavahai(マー・ヴィッドヴィシャーヴァハィー)
Om Shanti Shanti Shantih(オーム・シャンティ・シャンティ・シャンティヒ)

・クリシュナマントラ(恋を引き寄せる)

ヴィシュヌ神の化身であるクリシュナに祈りを捧げるマントラ。祈りを捧げるものに、恋愛を成功させるエネルギーを与え、成就へと導いてくれるといわれています。

【歌詞】
Hare krishna Hare Krishna(ハレー・クリシュナ・ハレー・クリシュナ)
krishna krishna hare hare(クリシュナ・クリシュナ・ハレー・ハレー)
Hare rama Hare rama(ハレー・ラーマ・ハレー・ラーマ)
rama rama Hare Hare(ラーマ・ラーマ・ハレー・ハレー)

・ラクシュミ―マントラ(富と美容の味方)

ラクシュミーは幸運をもたらす美しい女神です。祈りを捧げるものに、美を維持するための富と知恵を与えてくれるといわれてます。

【歌詞】
Om Shrim Maha Lackshumiyay Namah(オーム・スリ・マハ・ラクシュミイェー・ナマハ)

・ガネーシャマントラ(不屈の精神を育てる)

ガネーシャは知恵と繁栄の神様。このマントラによって、潜在意識とコンタクトをとることにより、「何に気づくべきか」という悩みの本質を理解することができるとされています。

【歌詞】
Om Sri Maha Ganapataye Namah(オーム・スリ・マハ・ガナマタイェー・ナマハ)

ヨガクラスでよく聞くマントラ

ヨガクラスでも流派やインストラクターの方針によりマントラの詠唱が行われることがあります。

・クラスの前後で唱える「オームシャンティ」

 「平和・平穏・休息・至福」を意味する「Shanti(シャンティ)」を3回唱えるマントラ。諸説ありますが、代表的なものとして1回目のシャンティは「自分自身」、2回目のシャンティは「自分を取り巻く環境や人々」、3回目のシャンティは「世界中すべての環境や人々」に対して平和を祈っているそうです。

【歌詞】
Om shanti shanti shanti hi(オーム・シャンティ・シャンティ・シャンティ・ヒ)

・アシュタンガヨガ「はじまりのマントラ」

アシュタンガヨガの練習に入る前に必ず唱えるインドの伝統的なマントラで、チャンティングとも呼ばれています。心を鎮め、これから始まる練習に集中する効果があります。

【歌詞】
OM(オーム)
Vande Gurunam Charanaravinde(ヴァンデー・グールナム・チャラナラヴィンデー)
Sandarshita Svatma Sukava Bodhe(サンダールシッタ・スワートマ・スカーヴァ・ボーデー)
Nih Sreyase Jangalikayamane(ニー・シュレヤセー・ジャンガリーカーヤーマネー)
Samsara HalahalaMohashantyai(サムサラー・ハーラハラ・モーハーシャンティエー)
Abahu Purushakaram(アーバーフー・プルシャーカーラム)
Shankhacakrsi Dharinam(シャンカチャクラシー・ダーリナム)
Sahasra Sirasam Svetam(サーハスラー・シラサム・シュウェタム)
Pranamami Patanjalim(プラナマミー・パタンジャリム)
OM(オーム)

・アイアンガーヨガ「Invocation to Patanjali(パタンジャリへの祈り)」

クラスの始めに、アイアンガーヨガ考案者であるパタンジャリ氏に祈りを捧げるマントラ。ヨガの智慧を授けてくれたパタンジャリ氏に感謝の気持ちを伝えるためにマントラを唱えるそうです。

【歌詞】
Yogena cittasya padena vacam(ヨゲーナ・チッタシヤ・パデーナワーチャム)
Malam sarirasya ca vaidyakena(マラム・シャリラッシャチャ・ヴァイデャケーナ)
Yopa karot tam pravaram muninam(ヨーパー・カロッタムプラヴァラム・ムニーナム)
Patanjalim pranjalir anato smi(パタンジャリム・プランジャリ・アーナトスミー)
Abahu – purusakaram(アーバーフー・プルシャーカーラム)
sankha - cakrasi – dharinam(シャンカ・チャックラシ・ダハーリナム)
Sahasra - sirasam svetam(サハスラ・シラサム・シュヴェータム)
Pranamami Patanjalim(プラナマーミー・パタンジャリム)
Hari Om(ハリ・オーム)

マントラを学ぶには?

マントラは聴いて覚えるのが1番。精妙なバイブレーションを体感できる方法をご紹介します。

レギュラーレッスンに通う

まだまだ数は少ないながら、最近では定期的にマントラのレッスンを行うヨガスタジオも。毎週通いマントラを耳で覚えることで、自然と口ずさむようになれるかもしれません。

ワークショップや講座を受講する

定期開催しているマントラのワークショップや単発講座に参加するのもおすすめです。1つのテーマでしっかり学ぶことができ、レギュラークラスでは得られない深い知識もえられることも。

DVDCDを聴く

手軽にマントラを学び始めたいという方にはDVDやCDもおすすめです。CDによってメロディーラインや雰囲気も異なるので、自分のお気に入りを探して練習するのも楽しいですよ。

手軽に聴ける!マントラ系ミュージックおすすめ歌手

Deva Premal(デヴァ・プレマール)

デヴァのマントラは、とても伸びやかで美しく、空間全体を神聖なものにしてくれると根強い人気があります。瞑想やシャヴァーサナの時だけでなく、心身を整えたい時にもおすすめです。

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Wah!(ワオ!)

洗練された透明感のある歌声が特徴のWah!。高音が美しく、心が浄化され包み込まれるような安心感を得られることから、リラックス系のヨガやマタニティヨガの際におすすめです。

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Daphne Tse(ダフネ・ツェ)

現代的なキルタンや英語の歌詞が特徴的で、コンテンポラリー・フォークやキルタンなど多様な文化の中から生まれたジャンルにとらわれない楽曲が多数。聞いているだけで穏やかで前向きな気持ちになれると人気も高いです。

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Snatam Kaur(スナタム・カウア)

世界中からマントラの歌姫として愛され、自由で豊かな心を呼び覚ますピュアな歌声が特徴的な歌手です。クンダリーニヨガとシーク教のマントラを、音楽を通して広く伝えており、彼女の歌声は聴く人のハートを温めて、ポジティブなパワーが溢れだすともいわれています。

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マントラで心の平穏を


ひと口にマントラといっても、その数はとても多く、マントラによって意味も様々。今の自分の環境や気分、目的に合わせて、お気に入りのマントラを探してみるのも楽しいですよ。心のざわつきを鎮め、穏やかに過ごす手助けをしてくれるマントラを試してみてはいかがでしょうか?

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広島県在住。 東京から移住し、最近の言葉で言うところの「スローライフ」をのんびり送っています。 ヨガは日々の習慣になっていて、特に呼吸法(プラーナーヤマ)を意識・大切にし体を動かしています。 YOGAHACKを通してヨガの楽しさ・魅力が伝えられればと思います。