【お米編】アーユルヴェーダの体質別食事について

穀物は私たちの一番身近な食べ物であるにもかかわらず、その素晴らしさは生活の中で見落とされがち、見直されないことが多いのではないでしょうか。この記事では、それぞれの穀物のもつ特性と、アーユルヴェーダの視点からドーシャとの関わりについて解説します。

穀物の重要性について

「炭水化物抜きダイエット」などが流行り、炭水化物を極力控える食の考え方も普及したためか、穀物は嫌厭されてしまう傾向にあります。
しかし、お米をはじめとする穀物は以下の点で重要です。

《穀物の重要性》

  • 脳や身体の重要なエネルギー源となる
  • 実はタンパク源
  • 食物繊維を摂取できる
  • 糖質、甘味をもつため、過度な糖分摂取が抑制される

食べ物の確保に困らない現代では、食事の選択肢は私たちにゆだねられ、メディアで取り上げられた、あるいはマーケティングで売り出された商品や食べ方に食いついては、離れていく傾向にあります。
例えば納豆、豆乳、キヌアやアマランサスなどスーパーフードと呼ばれる穀物、たんぱく質を多く摂る食べ方……

ある食べ物の長所に過度に焦点を当ててしまい、そればかりを毎日摂取しようとする人もいます。そういう時、自分の体質に合っているか、不足するものは何か、という点は見落とされがちです。

確かに、糖質の過剰摂取は、糖化をもたらし老化を早め、肥満や糖尿病、ガンなど様々な病気の原因にもなりえます。
しかし、もし穀物を食べなかったとして、甘いものに対する欲求を抑えられるでしょうか?

例えばお肉ばかりをお腹いっぱい食べた後、アイスを食べたり、サラダとスープでランチを済ませながら、残りのお腹のスペースをおやつのケーキのためにとっておく……穀物を抜いても、結局はそういう行動をしてしまいがちです。

この記事では、もう一度、穀物ってどんなものだっけ?と考えてみます。そして、こんなにおいしい食べ方があったんだ!ということに気づけば、みなさんも穀物に対する意識が変わるでしょう。おすすめ穀物レシピも記事の最後で紹介します。

アーユルヴェーダ的「穀物」の重要性

アーユルヴェーダはホリスティック(総体的)な視点から物事を把握します。ある一つの食べ物に偏らず、一回の食事、一週間の食事、もっと長いスパンの中での栄養のバランスと、自分自身とのつながり、周辺(自然、環境など)とのつながりにも目を向けます。

そう考えると、穀物を食事の中で適量を摂り入れることが必要だと分かりますね。

アーユルヴェーダでは、一つの食事の中で6つの味(甘味、辛味、酸味、塩味、苦味、渋味)が揃っていることが理想です(アーユルヴェーダの食事法については以下のリンクをご参照下さい)。また、食事は単にエネルギーを摂取するだけでなく、幸福とつながるものでなくてはなりません。

アーユルヴェーダって何?ドーシャ診断とは?基礎知識編  

 

アーユルヴェーダから見た穀物

アーユルヴェーダの観点からもどのような特徴があるか見ていきましょう。

穀物は6味のうち主に「甘味」です。そこに苦味と渋味も組み合わさっています。穀物は私たちをどっしりと落ち着かせてくれますし、滋養を与えてくれます。 

特にお米は、サットヴァ(純粋性)が高い食べ物とされています。地球上でもっともすぐれた穀物の一つで、消化も良いです。穀物は中間から「冷」の質を持つものがほとんどですが、玄米は「温」の性質があります。

ドーシャ別の注意点

おさらいですが、アーユルヴェーダはこの世界のすべての物質を五大元素(空・風・火・水・土)でとらえ、それぞれの元素がユニークに組み合わさったものをドーシャと呼んで、その物質の性質を説明しています。 

それぞれのドーシャの特徴は以下表の通りです。

ドーシャ 五大元素  
ヴァータ 空・風邪 軽性、乾燥、冷性
ピッタ  火・水 軽性、乾燥、温性、鋭性
カパ 水・土 重性、油性、冷性、滑性

また、アーユルヴェーダの重要な法則に、
「似たものが似たものを引き寄せ、反対のものがバランスをとる」
というものがありましたね。

みなさん一人ひとりに、生まれつき優勢なドーシャがありますが、特定のドーシャが過剰にならないように、乱れてきているドーシャを抑えることが、心・身体の状態を良好に保つために必要です。
※ドーシャは「減らす」ことでバランスを取ります。増えているドーシャに合わせて他のドーシャを「増やす」と、そのドーシャが基になっている疾患が出てきてしまうので、あくまでも「乱れたらそのドーシャを減らす」ことを意識します。

では、ドーシャ別のおすすめの穀物と、最小限にすべき穀物を見ていきましょう。

ドーシャ おすすめの穀物 最小限にすべき穀物
ヴァータ 日本米、赤米
(多少水分と粘度のあるもの)
キヌアやキビ・アワ
(軽く乾燥したもの)
ピッタ  赤米、ソバの実、大麦
(トリドーシック、冷性のもの)
ライ麦や玄米
(温の性質をもつもの)
カパ インディカ米、赤米、玄米
(もち種は避けた方が良い)
オーツ麦
(重い質のもの)

自分の体質に合う穀物が家になくても、食べ方を工夫することで、バランスを取ることが可能です。
例えば、ヴァータが乱れていると感じているけれど、軽くてぱらっとしたインディカ米しか家にない(…そんなことはあまりないと思いますが)場合は、少しのギーかごま油と、スパイス(ターメリック、クミンなど)、塩で、水を多めにしてごはんを炊く。そうすれば、乾燥体質のヴァータの人も油分と水分が取れて安心です。
あなたがピッタであれば、ギーの代わりに冷性をもつココナッツオイルを使ってもいいかもしれません。
カパは、もともと油性の性質をもつので、油はなくてもいいと思います。

また、生まれ持って優勢なドーシャとは別のドーシャが乱れている場合は、そのドーシャを上げないような食べ物を選択することが重要です。
例えば、もともとはヴァータ体質でも、ここ最近、なんとなくけだるくて、眠くて、鼻水が出る……などカパ性の乱れを感じている場合、カパを上げるようなものも避ける、といった具合です。

その時乱れているドーシャを知ること。これが大切です。

穀物(穀類)とは

穀類とは、でんぷんを主に含む種実を収穫するために栽培される、草木作物の総称のことです。

《穀類に共通する特徴》

  • 貯蔵性に優れている
  • 栽培が用意
  • 物理的衝動に強い

穀類は次のように分類されることがあります。

五穀 米、麦、あわ、きび、豆 (日本人が古くから常用している穀物)
世界三大作物 米、小麦、とうもろこし

このほかに大麦、ライ麦、えんばく、からす麦、こうりゃん、そばなどがあります。
主食あるいは主食の代用とする穀類を主穀、そのほかのものを雑穀と呼びます。 

成分特性

穀類の主成分はでんぷんです。やや少ないですがたんぱく質、脂質を含みます。たんぱく質=肉、魚、卵と認識している人も多いと思いますが、摂取量が多いので、穀類も重要なたんぱく質源とみなしてもいいはずです。

ここで少し細かく、栄養成分について見ていきます。品種や気温などの栽培条件により、各営業素の含有量に多少の差があります。

すべての穀類の特性を挙げても、覚えきらないと思いますので、いったん「五穀」のうち米、麦、それから、後のレシピで登場するきび、感心のある方も多いであろう玄米に絞って比較していきます。米は、みなさんの身近な存在ですので、米と比較してこんな特徴があるんだ、という風に見ていただければいいかなと思います。

米(精白米)

食品名

カロリー
Kcal

 炭水化物 
g
たんぱく質
g
 脂質
 水分
g
食物繊維
精白米 356 77.1 6.1  0.9 15.5  0.5

米はジャポニカ米とインディカ米に大別されます。精白米は、ぬかと胚芽をほとんど除去したものです。米は、植物性たんぱく質の中では非常に質のよいたんぱく質を含んでいます。 

米(玄米)

カロリー
Kcal

 炭水化物 
g
たんぱく質
g
 脂質
 水分
g
食物繊維
玄米 350 73.8  6.8 2.7 15.5 3.0

もみ米からもみ殻を除いただけのもの。ぬかや胚芽が残っているので色が黒い。精白米よりもたんぱく質、無機質、ビタミン、食物繊維が多い。マクロビオティックの人たちが積極的に食べます。
ちなみにぬかを除いて胚芽を残したものをはいが精米といい、精白米により近いです。 

大麦

食品名

カロリー
Kcal

 炭水化物 
g
たんぱく質
g
 脂質
 水分
g
食物繊維
米粒麦 343  76.2 7.0  2.1  14.0  8.7 

成分は小麦に近いですが、繊維が多く含まれます。米と比べて吸水性が高いです。丸麦は精麦した麦のことで、丸麦を平らにつぶしたものを押し麦、立野黒い溝で切断したものを白麦といいます。味噌やお茶、ビールの原料にも使われています。

きび

食品名

カロリー
Kcal

 炭水化物 
g
たんぱく質
g
 脂質
 水分
g
食物繊維
きび 356 73.1 10.6  1.7 14.0 1.7

もち種とうるち主に分けられます。うるち種は米と混ぜて炊き、もち主はきびもちや粉にしてだんごなどにされます(きびだんごといいますね)。栄養価は米や麦に劣らず、消化も良いです。

 ※食品成分表の数値は、調理しない状態での可食部100gあたりのもの。
  参考文献:ビジュアルワイド食品成分表(東京書籍印刷株式会社)

穀類のでんぷんの特徴

うるち種もち種に分けられる穀物に、米、きび、あわ、大麦、とうもろこしなどがありますが、主な違いはでんぷんの構造の特徴にあります。

もち種は、ぶどう糖分子が枝分かれしながら多数結合した巨大分子「アミロペクチン」のみからなります。うずまき、網目状の形をイメージしてください。糊化させると非常に粘りの強い糊になるため、もちができます。

うるち種のでんぷんには、10~20%アミロースという分子(ぶどう糖分子が直線状に1,000~4,000個結合したもの)が含まれるため、もち種より粘りが少なくなります。インディカ種がジャポニカ種に比べて粘りが少ないのも、このアミロースを多く含むためです。

では最後に、穀物のレシピをご紹介しましょう。 

「きび」のレシピ

材料

1~2人分)

  • きび……1/2カップ 
  • 水……1カップ(きびの2倍) 
  • 塩……少々
  • オイル……小1

オイルは、体質やその時の状況に応じて、ココナッツオイル、ごま油、ギーなどから選びましょう。

レシピ 

すべての材料を鍋または炊飯器に入れて炊く。鍋で炊く場合は弱火でコトコト炊きましょう。
今までこういう食べ方をしたことがない方は、少しその味や食感に驚くかもしれません。未知の体験を楽しみましょう。


いかがでしたか?

私たちにとって一番身近な穀物の特徴についてご紹介しました。日々の生活の中でバランスよく取り入れながら、興味がある穀物については、積極的に試してみると面白い発見があるかもしれませんよ!

横浜・石川町にて、アーユルヴェーダ料理教室、ヨガ・顔ヨガのレッスンを開催。
東京・中野坂上にて、毎週日曜限定でアーユルヴェーダカフェを運営。
美腸・健康的な心と体を作る【アーユルヴェーダ料理】、顔痩せ・小顔に効果的な【顔ヨガ】、便秘解消や腰痛緩和・リラックス・デトックス効果のある【ヨガ】。この3つで、毎日をより豊かにするお手伝いをします。

・2017年3月 ファーストシップトータルヨガスクール主催 全米ヨガアライアンス認定(RYT200)取得
・2017年5月 高津文美子式フェイシャルヨガ認定講座終了
・Hale Pule認定アーユルヴェーダヘルスカウンセラー資格取得に向け勉強中
・ヨガ・アーユルヴェーダ料理教室「森の時計」主宰

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